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2016年9月29日(木)

主張

医療費の窓口払い

受診抑制を招く負担増やめよ

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 安倍晋三政権の下で貧困と格差が広がり、経済的理由から必要な医療を受けられない人たちの問題が深刻化しています。医療機関の窓口で患者が支払う3〜1割の自己負担の重さのため、具合が悪くても我慢して症状を悪化させる―。国民の健康を脅かす、この事態の打開こそ必要なのに、安倍政権は患者の窓口負担をさらに増やす方針の具体化を進めています。そんなことになれば、多くの国民が必要な医療から締め出され、健康破壊が広がるばかりです。医療を国民から遠ざける負担増を許さず、高すぎる窓口負担の軽減をすすめることこそ重要です。

高齢者から現役世代まで

 安倍政権が参院選後、医療、介護、生活保護など社会保障のさまざまな分野で制度改悪の具体化を加速している中で、医療では窓口払いと保険料の負担増が大きな柱です。厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会では、その検討項目が示され、今年末に結論を出すとして議論が本格化しています。

 標的の一つが、高齢者の窓口負担引き上げです。75歳以上の2割負担の原則化、70歳以上が一定額以上の医療費を支払った場合に払い戻される仕組み(高額療養費制度)の基準引き上げなどが提案されています。部会では、経団連側が「速やかに実施すべきだ」と主張したのに対し、医師会や市長会から異論が出されています。

 多くの高齢者が少ない年金から支払っている国保料(税)や後期高齢者医療保険料は負担増の連続です。介護の保険料・利用料の負担も引き上げばかりです。そのうえ75歳以上の窓口負担が原則2倍化されたら、病気になりやすい高齢者が受診を我慢し続け、重症化する危険を招きます。高齢者の健康を脅かすことは許されません。

 全世代にかかわる窓口負担増も狙われています。医療保険部会は、「かかりつけ医」以外の医療機関を受診した場合、「定額負担」を求める仕組みを検討し、今年末に結論を出すとしています。これは原則3〜1割の自己負担のほかに、一定額を上乗せして患者が支払うという制度です。「かかりつけ医」以外という“条件”をつけていますが、現在の医療制度では「かかりつけ医」の定義など明確でなく、無制限に広がる危険が大です。

 歴代政権は自己負担と別に500円程度の患者負担を求める「受診時定額」をたびたび持ち出し、世論の批判を浴びて断念に追い込まれてきました。今回、装いを変えても、重い負担を強いる本質は変わりません。日本医師会も「受診抑制」につながると警告しています。負担増で医療費を無理やり抑え込むことは、やめるべきです。

軽減・無料化こそ必要

 父母らの運動で子どもの医療費の窓口負担無料化を実施する自治体が全国に広がり、必要な医療を子どもに保障する上で重要な役割を果たしています。無料化が子どもの重症化を防ぎ医療費を抑える効果が出た自治体の調査もあります。政府は、無料化した自治体への補助金を減らす国による「罰則」の是非を検討していますが、「罰則」をやめる決断をすべきです。

 欧州諸国の窓口負担はゼロか少額なのに、日本はあまりにも高すぎます。税金の使い方を改めるなどして財源を確保し、医療費の窓口負担の軽減と無料化をすすめていくことが必要です。


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