「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年9月28日(水)

主張

日米ACSA改定

戦闘地域への兵站拡大許せぬ

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 日米両政府は、戦争法(安保法制)に基づき世界規模での自衛隊による米軍支援を運用可能にするため、新たな日米物品役務相互提供協定(新ACSA(アクサ))に署名しました。安倍晋三政権は今臨時国会での協定承認の強行を狙っています。米国の世界規模での戦争で自衛隊が従来活動の禁止されていた「戦闘地域」でも米軍に対して補給や輸送などの後方支援=兵站(へいたん)が実施できる仕組みを盛り込んだ戦争法具体化の一環です。米国の戦争支援のために自衛隊員を海外の「殺し、殺される」戦地に投げ込む重大な協定であり、国会承認の強行は決して許されません。

違憲性と危険性は明白

 1996年に締結されたACSAは、自衛隊と米軍との間の兵站などに関する手続きの枠組みを取り決めた協定です。当初の対象は日米共同訓練や国連平和維持活動などに限られていましたが、今回の新ACSAを含め3回にわたる改定により、平時から戦争法に基づく集団的自衛権の行使時まで、あらゆる場面で適用可能になりました。戦争法を構成する「重要影響事態法」や「国際平和支援法」に基づく海外での自衛隊による米軍への兵站に適用が拡大されたことは非常に重大です。

 二つの法律に共通する最大の問題は、武力行使をしている米軍に、「戦闘地域」でも自衛隊が兵站をできることです。その違憲性、危険性は戦争法をめぐるこれまでの国会論戦で既に明白です。

 日本政府はこれまで、米国のアフガニスタン戦争やイラク戦争で米軍支援のため自衛隊を派兵した際、「非戦闘地域」でしか活動はできないという「歯止め」を設けていました(テロ特措法、イラク特措法)。「非戦闘地域」とは▽現に戦闘行為が行われていない▽自衛隊が活動する期間を通じて戦闘行為が行われないと認められる―という要件を満たす地域とされました。政府は自衛隊の活動が憲法9条に違反する「他国の武力行使との一体化」を避けるための「制度的担保」だと説明してきました。

 ところが「重要影響事態法」と「国際平和支援法」は、「非戦闘地域」の後者の要件を外し、「現に戦闘行為が行われている現場」以外ならどこでも兵站をできるようにしました。近隣で戦闘が起ころうが、いつ戦闘が起こってもおかしくない地域(戦闘地域)であろうが、実施可能にしたのです。憲法9条に抵触しないための「制度的担保」は投げ捨てられました。

 兵站の中身も大きく拡大し、従来は禁止されていた弾薬の提供や、戦闘に向かう航空機への給油や整備も可能になりました。危険極まる道への踏み込みです。

承認阻止の運動大きく

 兵站は、戦争遂行に不可欠であり、武力行使と一体不可分の活動です。相手方からすれば格好の攻撃目標です。戦闘が発生する可能性のある地域で自衛隊が活動すれば、相手方から攻撃される危険は極めて大きくなります。政府も攻撃されれば自衛隊が武器を使用することを認めており、戦闘に発展するのは不可避です。

 安倍政権は新ACSAについて今年7月の参院選への影響を恐れ、締結を先送りしてきました。今回の署名を受け、今臨時国会での承認を強行し、年内の運用開始も狙っています。承認阻止のたたかいを強めることが急がれます。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって