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2016年9月26日(月)

主張

大分県警の盗撮

警察の開き直りは通用しない

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 大分県警が、参院選の時に大分県別府市内の労働組合の事務所敷地内に無断でビデオカメラを設置し、人の出入りを盗撮していた事件が波紋を広げています。事件について本質的な謝罪をしないだけでなく、開き直りの対応を続ける大分県警や警察庁に県民・国民の批判の声が上がっています。

職権を乱用した不当捜査

 この事件は、大分県警別府署の警察官が、参院選公示直前に野党統一候補を支援する労組事務所敷地内の立ち木などに事務所前を監視するビデオカメラ2台を設置したことが、選挙後明らかになったものです。警察の職権乱用であり、選挙の自由を妨害する重大な違法行為です。しかし、大分県警は「建造物侵入罪」についてだけ謝罪、送検し、盗撮に関与したとされる警察官は略式起訴・罰金となったものの、肝心の盗撮については「特定の人物を対象にしたものだ」などと捜査上認められる行動であるかのように開き直りました。

 刑事法上は、このような撮影(盗撮)や電話傍受(盗聴)は、対象人物が犯罪を行ったという明確な根拠のもとに少なくとも裁判所の許可の令状を得てはじめて可能なことです。そのうえ大分県警のいうように特定職種の公務員が仮に労組事務所へ出入りしたとしても、それ自体は何ら犯罪とはいえません。公平・中正を旨とする警察官には許されない不当な捜査であることは明白です。

 さらに重大なのは、8月末に警察庁が全国の県警本部長などに送ったこの事件に関する通達です。そこでは「捜査用カメラによる被疑者の撮影・録画は、その捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われる場合に限り任意捜査として許される」と盗撮があたかも合法であるかのようにいっています。しかし、任意捜査の「任意」とは被疑者・参考人が捜査に応ずるかどうか判断できるという意味の任意であって、捜査担当者が被疑者に秘密裏に行う捜査は任意捜査ではありえません。

 通達は、「特定の位置に固定して撮影」する場合は「捜査の秘匿に留意」せよなどと、盗撮の際の注意事項まで記しています。警察庁の通達は、不当な捜査を今後も継続して行うことを推奨するに等しい、とんでもない性格のものです。

 警察がこのような不当な捜査方法をこれまでもひそかに行ってきたことは、先週の大分県議会での日本共産党議員の質問に対し、今回の別府署の事件以外にも撮影を行ってきたことを認めた県警側の答弁でも明らかです。県警や警察庁は人権侵害の不当捜査の全容を公表し、即刻中止すべきです。

人権の侵害は即刻中止を

 警察がこの種の不当な捜査方法を次々と広げていることは重大です。警察が裁判所の令状も取らずにGPSを被疑者の自動車に取り付け行方を追跡した捜査行為は裁判で違法と指摘されるなど大問題になりました。先の通常国会では捜査にかかわる刑事訴訟法関係の法改定が強行され、通信傍受(盗聴)の方法はいっそう外部チェックが難しい方式に変えられました。警察の恣意(しい)的な取り扱いがさらに増大し、一般国民の人権が侵される危険が広がっています。

 安倍晋三政権が狙う共謀罪など人権侵害の悪法強行を許さないたたかいが重要になっています。


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