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2016年9月25日(日)

熊本地震 家屋 公費解体が長期化

いらだつ被災者 益城町で

業者足らず、間に合わない

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 熊本地震の被災地で、全壊するなどした家屋の公費解体が長期化する見通しです。自治体の担当者は「解体業者が手いっぱいで、ペースが上がらない」とこぼします。自宅の解体は生活再建の前提となるため、被災者からは「早く解体できないと次のステップに進めない」といらだつ声が上がっています。(安川崇)


写真

(写真)熊本地震で崩れたままの家屋=12日、熊本県益城町

 熊本県益城町宮園地区。道路の両側には崩れた木造家屋が続き、比較的新しい建物も大きく傾いたり壁が崩れたりしたままです。

変わらない光景

 「この数カ月、光景があまり変わっていない。道路上のがれきが取り除かれたくらい」

 自宅が全壊し、町内の仮設住宅で暮らす女性(80)が言います。公費解体を5月に町に申し込みましたが、着工時期の連絡はないといいます。

 元の土地での自宅再建を希望しますが「解体を終えて地盤調査をしないと建てられるかわからない。仮設住宅を出る段取りがつけられない」といいます。

 同町馬水地区の男性(78)も全壊した自宅の公費解体を待っています。「両隣は修理をして人が住んでいる。うちが傾いたり瓦が落ちたりして迷惑をかけないか」と不安を募らせます。

 町環境衛生課によると、9月初め時点で公費解体の申請件数は約2500。工事は7月に始まり、21日までに77件が終わりました。解体業者50〜60班が作業にあたりますが、1棟に平均2週間かかります。1件の申請でも母屋と「離れ」、蔵など複数の建物が対象になるケースが多く、実際の解体軒数は申請件数を大きく上回るとみられます。

目標は17年度末

 県は解体完了の目標を2018年3月末に設定していますが、同課は「現在のペースでは間に合わない」。ある職員は「被災者に着工の見通しを伝えたいのはやまやまだが、順番を告げられる状態ではない」と話します。

 背景に、業者もいっぱいで思うように集まらない事情があります。県循環社会推進課災害廃棄物処理支援室は「自費で解体する被災者も少なくなく、業者がそちらに回っている側面がある」と話します。

 「自費での解体がひと段落すれば、業者が公費解体に回ってくれる」と期待しますが、公共復興工事の発注も今後本格化するため不安要素は消えません。


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