2016年9月25日(日)
爆発を伴う核実験 自制求める決議採択
廃絶の視点欠落の批判も
国連安保理
【ニューヨーク=島田峰隆】国連安全保障理事会は23日、爆発を伴う核実験を自制するようすべての国に求めた決議を賛成14、反対ゼロ、棄権1で採択しました。国連総会で包括的核実験禁止条約(CTBT)が採択されてから今年で20年になることを受けて、米国が主導して決議をまとめました。
決議は、CTBTを署名、批准していないすべての国に対して遅滞なく手続きを進めるよう促しています。爆発を伴う核実験の自制のほか、実験の一時停止措置の維持も求めています。また核実験の監視施設を持つ国が自発的に監視体制について報告することを歓迎するとしました。
決議には、制裁など強制措置を可能にする「国連憲章第7章に基づく」という表現はありません。
ケリー米国務長官は「決議は核実験を法的に禁止するものではない。いかなる政府にも新たな報告義務を強制するものでもない」と説明しました。また「コンピューター化や人工知能が進んだ今日の世界では、核兵器で何ができるか爆発させる必要はない」と語り、核兵器開発を続ける姿勢を示しました。
唯一棄権したエジプトは「核実験だけを問題にし、核廃絶の視点が欠落している」と批判しました。核保有5カ国(米英仏中ロ)以外で決議に賛成した安保理国の多くも、核実験の禁止にとどまらず、全面廃絶を追求するよう主張しました。
また多くの国が、北朝鮮の核実験についてこれまでの安保理決議違反だと批判しました。
包括的核実験禁止条約(CTBT) 宇宙、大気圏、水中、地下を含むあらゆる場所での爆発を伴う核実験を禁止する国際条約。1996年に国連総会で採択されました。発効には、研究用、発電用の原子炉を持つ44カ国すべての批准が必要です。米国、中国、北朝鮮、インド、パキスタン、イラン、エジプト、イスラエルの8カ国が未批准で、発効していません。