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2016年9月25日(日)

笹子トンネル事故の中日本高速

国交省元事務次官が天下り

安全コスト削減の“旗振り役”

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 国土交通省に在籍時、高速道路の民営化や点検・補修などの“コスト”削減で推進の先頭に立っていた同省元事務次官が今年6月、笹子トンネル事故を起こした中日本高速道路(名古屋市中区)の代表取締役に就任していたことが24日、わかりました。安全軽視への反省もなく国交省と高速道路会社がなれ合う構図が浮かびあがります。(矢野昌弘)

 中日本高速の専務・代表取締役になったのは、増田優一・元国交事務次官(64)です(表)。

 2012年12月に発生した中央自動車道・笹子トンネルでの天井板崩落事故では、管理する中日本高速のずさんな点検・補修が事故の一因となっています。事故当時、増田氏は同省で事務方ナンバー3の国交審議官で、高速道路の担当でした。

 政府、国交省は05年10月の民営化前から点検などの管理費を「05年度までに3割(対02年度)のコスト縮減」を推進。民営化後も、中日本高速はこの方針を引き継ぎ、「さらなる削減をめざします」(06年発表の経営計画)としていました。

 増田氏は、道路公団民営化の際、道路局次長として、コスト削減の先頭に立っていました。

 05年4月の国会で増田氏は「4公団の管理コストにつきましては、(中略)3割削減をすでに達成したところでございます」(参院行政監視委員会)と答弁。管理費を削減した“成果”を誇っていました。

 13年には、国交省の事務方トップである事務次官に就任。在任中の14年4月に、高速道路建設などの借金返済期限を2050年から65年へと15年も先延ばしする道路法等の改定法案を国会に提出しています。

 中日本高速は本紙の取材に「増田氏は有料道路などの道路行政、防災行政に精通し、行政上の経験も豊富。本社の専務に適任であることから選任した」と回答。国交省は「中日本の判断で選任されたもの。こちらから選任を求めたものではない」としています。

増田氏の経歴と高速道路をめぐる動き

■2004年6月 道路公団民営化法が成立

△同年7月 国交省道路局次長(06年7月ごろまで)

■05年10月 中日本など高速道路6社が発足

△10年8月 国土交通審議官(高速道路を担当)

■12年12月 笹子トンネル事故

△13年8月 国土交通事務次官に

■14年5月 道路法等改定法が成立

△14年7月 国交省顧問に

△14年12月 東京海上日動火災保険顧問に

△16年6月 中日本高速代表取締役、専務、総務本部長に

※△は増田氏についての記述。■は高速道路に関する出来事。


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