2016年9月24日(土)
リニア 生存権を侵害
認可取り消し訴訟で口頭弁論 東京地裁
JR東海(本社・名古屋市)が計画しているリニア中央新幹線について計画区間沿線の住民らが、国土交通省の工事実施計画認可(2014年10月17日)の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が23日、東京地裁で開かれました。原告と弁護団が、南アルプスをトンネルで貫く自然破壊や安全の問題など、違法性について意見陳述しました。
訴訟は、東京、神奈川、山梨、長野、静岡、岐阜、愛知の7都県の738人が原告となり、今年5月20日に提訴。この日の口頭弁論には、原告や支援者ら200人余りが傍聴につめかけました。日本共産党の本村伸子衆院議員も傍聴しました。
川村晃生原告団長は、陳述で残土処理、水枯れ、電磁波などさまざまな被害や自然破壊をもたらすリニア新幹線について、それほどの犠牲を払ってまで必要だという合理的な説明がJR東海や国交省からなされていないと指摘。「憲法が保障した生存権や人格権、幸福追求権を侵害している」と主張しました。
弁護団共同代表の関島保雄弁護士ら6弁護士は、品川―名古屋間286キロメートルの86%がトンネル区間、南アルプスの大深度地下に約50キロものトンネルを建設することで、捨て場の決まらない大量の建設残土の発生、環境破壊、トンネル内の事故で乗客の安全を確保できない問題などをあげ、事業認可の違法性を指摘しました。
大阪までの開業(45年)の8年前倒しのために政府による3兆円の財政投融資について、国家事業である実態を明らかにしたものだと指摘。「多くの問題を抱えるリニア新幹線を、国会の審議を避けるためにJR東海の事業として行ったと考えられ、民主主義に反する」と批判しました。
国交省は、一部原告の訴えの却下、訴えそのものの棄却を求める答弁書を提出しました。