「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年9月24日(土)

主張

「残業代ゼロ」法案

長時間労働の促進許されない

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 安倍晋三首相は、内閣の「最大のチャレンジ」は「働き方改革」だといい、「長時間労働の是正」に取り組むとしています。労働者が健康をそこない「過労死」するような異常な長時間労働の是正は、最優先で取り組むべき課題です。

 しかし安倍政権が26日からの臨時国会で成立させようとしているのは、長時間労働をまん延させる「残業代ゼロ」法案です。長時間労働を是正するというのなら、それに反する長時間労働促進法案を撤回するべきです。

労働時間概念がなくなる

 「残業代ゼロ」法案は、労働時間規制が一切適用されない「高度プロフェッショナル」という労働制度をつくる労働基準法の大改悪案です。管理職になる一歩手前の「高度専門職」(年収1075万円以上)が対象で、労働時間という概念がなくなり、残業代も、深夜・休日出勤手当も出ない無制限の労働になります。経営者は、労働時間を管理する責任がなくなり、労働者が山のような仕事をかかえて長時間働いて体を壊したり、「過労死」したりしても自己責任にされます。まさに「残業代ゼロ・過労死促進法案」と呼ぶのにふさわしい悪法です。

 「高度専門職」に限って「時間ではなく成果で評価する制度」だと安倍首相はいいます。しかしこれは方便です。この制度をつくる中心になってきた経団連の榊原定征会長は、今後、職務要件も年収も下げて労働者の10%に広く適用することを主張しています。

 管理職の一歩手前の専門職といえば、30〜40歳代の中心的な働き手で、最も長時間働いている層です。政府の「過労死」労災の状況をみると、精神疾患の申請・認定が最も多いのが40〜49歳層で31%、その次が30〜39歳層の29%です。

 労働時間規制が強く求められているこの層を、逆に規制の対象外にして、終わりのない労働に追いやろうとする―。こんな法案を推進することは許されません。

 併せて企画業務型裁量労働制の適用業務を緩和し、営業職などに広げる改悪も盛り込まれています。裁量労働制は、労使が合意した時間を労働時間と「みなす」制度で、合意が8時間であれば、10時間働いても2時間分の残業代は出ません。仕事の裁量がない営業職に導入したら、適用者があいまいになって、ノルマ達成のための長時間労働に追いやられる労働者が激増することになるでしょう。

 この法案は、国民の強い反対で昨年の国会に続いて今年前半の通常国会でも成立させることができず、継続審議となっています。反対世論と運動の力で何としても廃案に追い込むことが必要です。

最良なのは「上限規制」

 日本の労働時間が異常に長いのは、労働基準法36条にもとづく労使協定(「三六(サブロク)協定」という)を結べば、青天井の残業が可能な仕組みになっていることです。「月45時間」などの限度基準が一応ありますが、法的な拘束力がなく、しかも突発的な事情を見越してさらに延長できる「特別条項」があって、無制限残業を可能にしています。

 安倍政権は「働き方改革」でこの「三六協定」の在り方を見直すといっています。それなら「残業代ゼロ」法案を撤回し、「三六協定」に上限を設ける新しい労働基準法改正案を出すことが最良の道です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって