2016年9月23日(金)
臨時国会 安倍暴走政治と対決 党国会議員に聞く
原発問題 再稼働推進 世論と矛盾
藤野保史衆院議員
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―安倍政権は、原発再稼働を進め、2030年には発電電力量のうち20〜22%を原発で賄う思惑を持っていますが。
たたかいと結び
決して思惑通りになっていません。その背景には、国民の世論と運動があります。
これまでに7基の原発が原子力規制委員会の審査を合格しましたが、関西電力高浜原発3、4号機は、大津地裁の決定で運転を差し止められました。同じく1、2号機は、老朽原発で耐震対策などの工事が終わっていません。
九州電力川内原発1、2号機は、鹿児島県民の運動で、三反園訓知事が九電に運転停止を申し入れました。10月、12月に川内原発は定期検査に入るので、年末までには四国電力伊方原発3号機しか動いていない状況となります。まさしく世論と運動が再稼働を止めているのです。そのたたかいと結んだ国会論戦を臨時国会でも大いにやっていきたいと思っています。
―世論を無視しごり押しする姿勢は目に余ります。
上から原発推進の政策を決めていく。そのことがまた矛盾を広げています。
その大きな一つが福島です。
現在、政府は来年3月までに帰還困難区域以外の避難指示解除を進めています。8月に党国会議員団として、福島県の実態の調査に行きました。避難指示が解除されて、「帰りたい、だけどやっぱり帰れない」現状がありました。帰っても農業はできないし、雇用の場はないし、医療機関の不足…、不安が先だって帰れないのです。しかし、解除されたら1年後には賠償が打ち切られます。
川俣町では、国が上から避難指示解除の圧力をかけている実態もわかりました。
被害は続いている、むしろ拡大し、住民が苦しんでいる面もあるのに、安倍政権は事故の被害が終わったことにして避難指示解除を進めているのです。こうした福島の切り捨てを許さないたたかいは、非常に大きな課題です。
―東京電力福島第1原発事故の収束もままならない状態です。
見通しは立たず
国費を投入した凍土壁は凍らず、収束の見通しは立っていません。安倍首相は“国が前面に立って”と言いますが、そうなっていないもとで、収束そのものにどう責任を持つのか、たださなくてはいけません。
今年はチェルノブイリ原発事故から30年、福島原発事故から5年の節目でもあります。エネルギー政策とともに、本当の意味で福島県民の暮らしをどう支えるか、政府に問いただす国会にしたいです。
新たな動きとして、注視しているのが、事故時の避難計画の実効性など住民の意向を受けて鹿児島県知事が稼働中の川内原発の停止を申し入れたことです。自治体と原発の関係が問われてきます。さらに、避難計画を自治体に丸投げする国の責任や、規制委のあり方も本格的に問い直したい。
また、福島第1原発などの廃炉費用を新電力にも負担させようという動きがあるとの報道も出ています。再生可能エネルギーを電力自由化で選んだ人にまで、原発の廃炉費用を負担させることを許さないたたかいも重要です。
原発問題では、国でも地方でも一つ一つのたたかいが、さらにたたかいを広げる状況になっています。安倍政権の暴走を止めるたたかいを広げるために全力をあげたい。
聞き手 松沼 環
写 真 小酒井自由