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2016年9月23日(金)

有事の民間船動員請け負い会社

登記住所に事務所無し

巨額な契約 疑問の企業実態

大手商社「双日」内に

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 安倍自公政権のもとで進められている、民間船員を予備自衛官として戦争に動員する計画。全日本海員組合が「事実上の徴用だ」と抗議するなど、重大な問題となっています。この問題をめぐって、有事の際に民間船舶を使用する事業契約を防衛省と結んだ船舶会社が、登記簿上の会社所在地に事務所が存在せず、大手商社内に間借りしていたことが明らかになりました。

 (藤沢忠明)


写真

(写真)高速マリン・トランスポートの登記簿と登記簿上の所在地のビル=東京都千代田区

今年2月に設立

 この会社は、「高速マリン・トランスポート株式会社」。日本共産党の仁比聡平議員が、3月25日の参院予算委員会で追及した際、中谷元・防衛相=当時=は、「自衛隊のために船舶を運航してもらう」とのべ、有事の際に「危険地域」に砲弾や弾薬を運ぶことや、船員を予備自衛官にして動員することを認めました。また、米軍の人員や物資の輸送についても「そういう事態は排除できない」と答えるなど、民間船員をアメリカの戦争支援に動員する危険な実態が浮き彫りになりました。

 高速マリン・トランスポートの登記簿などによると、同社は、自衛隊を輸送する民間船舶を所有するため、フェリー会社など8社が出資して、ことし2月19日に設立。防衛省との契約は、3月11日付で結んでいます。資本金は5000万円です。

 所有するフェリーは、津軽海峡フェリー(北海道函館市、資本金2000万円)の「ナッチャンWorld」(1万712総トン)と、新日本海フェリー(同小樽市、資本金19億5000万円)の「はくおう」(1万7345総トン)。

 役員は3人で、代表取締役は、大手総合商社「双日」(東京都千代田区、資本金1603億円)の情報産業・航空事業部長。あと2人の取締役は、津軽海峡フェリーの副社長、新日本海フェリーの取締役となっています。

 登記簿の本社所在地は、東京都千代田区内幸町。訪ねてみると、双日が入居する高層ビル。ロビーなどで、高速マリン・トランスポートの社名を見つけることはできませんでした。ビル3階にある総合受付で聞いても「そういう会社は入居していません」。

商社住所で登記

 本紙の「会社の実態があるのか」との質問に、双日広報は、「実在はしている。当社のものが取締役になっているので、(登記簿の住所は)当社と同じになっている。営業担当が数名いるが、(高速マリン社が)会社として(事務所の)スペースを設けているわけではない」と答えました。

 防衛省と高速マリンとの契約は、2025年12月まで約250億円という膨大で、民間船員を戦争に動員するという危険なものであるにもかかわらず、こうした会社の実態には、疑問が残ります。


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