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2016年9月22日(木)

中央道・笹子トンネル事故

国交省、議事録残さず

中日本高速からの聴取

会議4回分、要旨70行だけ

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 2012年に9人が犠牲となった中央自動車道の笹子トンネル天井板崩落事故で、中日本高速道路(名古屋市中区)に聞き取りをした国土交通省による詳細なメモや議事録が存在しないことが21日、本紙が情報公開請求で入手した資料でわかりました。多数の犠牲者を出した大事故について事業者からの重要な証言を残していない国交省の姿勢が問われます。

 (矢野昌弘)


写真

(写真)国交省が開示した「議事要旨」

 国交省は、事故から2日後の2012年12月4日に大学教授らでつくる「トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会」を発足させています。

 委員会は5回開催され、このうち4回の会議で中日本高速の関係者が聞き取りに答えていました。

 本紙は、同委員会での聞き取り内容を記録したメモや議事録などを情報公開で請求しました。

肝心の中身なし

 これに対し、国交省が開示したのは会議4回分でA4用紙5枚分の「議事要旨」のみ。箇条書きで70行ほどのごく簡単なメモで、聞き取り記録とはほど遠いものです。

 その内容も「トンネルの過去の点検履歴についての報告がなされた」「(天井板の)設計当時の規定や考え方に関して確認がなされた」などとして、肝心の具体的な中身は書いていません。

 本紙に対し、国交省は「探したが、『議事要旨』しか存在していない。当時、議事録を作ったのかどうかもわからない。議事録化する統一的なルールが省内にあるのかわからない」とのべました。

いまだ説明なし

 同事故で、トンネルを管理する中日本高速は事故原因についてほとんど説明責任を果たしていません。

 複数の遺族によると、同社からの事故についての説明は、事故直後に少し行われただけだったといいます。

 また、山梨県警は業務上過失致死の疑いで同社を家宅捜索し、多数の資料を押収しています。しかし、今も起訴をしておらず、多数の証拠資料が公にされていません。

 事故で長女の玲さん=当時(28)=が犠牲となった松本邦夫さん(65)は「中日本高速から、事故後の『安全性向上3カ年計画』について説明はあるが、事故原因について説明を求めても『警察に協力していますので』と答えるのみ。国交省がヒアリングを記録していないことはありえない。ひどい話だ」と憤ります。

会議目的骨抜きに

公共交通による事故被害者や遺族の支援をする津久井進弁護士の話

 何のため、誰のための調査かと言えば、再発防止と原因究明であり、被害者や遺族のためだ。議事録がないということは会議の目的を骨抜きにされており、本来の任務を忘れている。『要旨』は、あくまで取捨選択された情報だ。公開の場で、原因究明をしていくという原則からいって、国交省の対応は間違っている。


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