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2016年9月22日(木)

第6回中央委員会総会

志位委員長の幹部会報告

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 志位和夫委員長が20日、第6回中央委員会総会でおこなった幹部会報告は次のとおりです。


 中央役員のみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、おはようございます。

 第6回中央委員会総会の任務は、参議院選挙の教訓を明らかにするとともに、総選挙に向けた取り組み、国際問題のいくつかの焦点、秋のたたかいの課題、第27回党大会をめざす党勢拡大の特別の取り組みについて、全党の意思統一をはかることにあります。

 私は、幹部会を代表して、中央委員会総会への報告を行います。第27回党大会の招集は、幹部会報告のなかで提案することとします。

1、参議院選挙の教訓と、総選挙に向けた取り組み

 まず参議院選挙の教訓と、総選挙に向けた取り組みについて報告します。

参議院選挙の結果について

写真

(写真)報告する志位和夫委員長=20日、党本部

 7月10日に行われた参議院選挙で、わが党は、野党共闘の勝利と日本共産党の躍進という二つの大目標を掲げてたたかいました。

 野党と市民の共闘は、全国32の1人区のすべてで野党統一候補を実現し、11選挙区で激戦を制して勝利をおさめ、初めての挑戦としては大きな成功をおさめました。

 日本共産党は、改選3議席を6議席へと倍増させ、比例代表の得票は、躍進した2013年参院選の515万4千票(9・68%)をさらにのばして、601万6千票(10・74%)、参院選の比例代表では史上2番目の得票への前進をかちとりました。

 参議院選挙で、私たちは、大健闘といえる成果をあげることができました。

 野党共闘と日本共産党にお寄せいただいたご支持とご支援に対して、中央委員会総会として、心からの感謝を申し上げるものです。

政治的教訓をどうつかむか―「記念講演」をふまえ三つの点について

 参議院選挙の政治的教訓をどうつかむか。

 その基本点は、「党創立94周年・記念講演」で明らかにしています。「記念講演」をふまえ、三つの点を強調しておきたいと思います。

選挙戦の全体像をつかむ―未踏の領域への最初の挑戦 

 第一は、選挙戦の全体像をつかむということです。この選挙で、私たちは、かつて体験したことのない未踏の領域への最初の挑戦を行いました。戦後初めて野党と市民が全国規模で選挙協力を行うという歴史的選挙となりました。たしかな“共闘効果”が発揮され、自民党が「重点区」とした1人区のほとんどで野党が勝利し、他の野党や市民の方々との新しい連帯と信頼の絆が広がったことは、大きな意義をもつものであります。

 党綱領の統一戦線の方針が、国政を動かす、新しい時代が始まっています。この統一戦線は、開始されたばかりであり、多くの未熟な点、多くの課題を抱えており、前途には曲折も予想されますが、大局的に見て、大きな未来があると確信するものです。

 この新しい情勢を開くうえで、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」を呼びかけた昨年9月19日の第4回中央委員会総会決定は的確なものであり、大きな貢献となったことを確認したいと思います。

野党共闘攻撃、日本共産党攻撃とのたたかいの意義をつかむ 

 第二は、野党共闘攻撃、日本共産党攻撃とのたたかいの意義をつかむということです。安倍首相を先頭に行われた異常な攻撃は、わが党が新しい方針に踏み込み、相手を追い詰めたがゆえの攻撃であります。それは野党共闘という方針が、安倍政権にとって深刻な脅威であること、その方針の正しさを証明するものにほかなりません。

 そして何よりも重要なことは、この攻撃は一定の逆風として作用しましたが、正面からの断固とした反撃によって、相手の思い通りの結果にさせなかったということであります。こうした「階級闘争の弁証法」をつかむことが大切であります。

安倍・自公政権が多数の議席を得たことをどうつかむか 

 第三に、安倍・自公政権が多数の議席を得たことをどうとらえるか。改憲勢力が衆参両院で3分の2を占める結果となったことの危険性は、もとより軽視できません。同時に、それは、真の争点を隠し続け、「隠す選挙」にするという、議会制民主主義にもとる態度によって得た議席であります。

 選挙後、安倍政権は、憲法改定をはじめ、選挙中国民に語らなかった一連の暴走政治を強行しようとしています。そのような「だまし討ち」の政治は決して長続きしないし、させてはなりません。この構えをしっかり確立し、安倍政権の暴走を止め、政治の転換をめざすたたかいに、新たな決意でたちむかおうではありませんか。

宣伝・組織活動の教訓―5中総決定の「四つの構え」にてらして

 選挙戦の宣伝・組織活動の教訓はどうか。

 4月の第5回中央委員会総会決定は、参院選は「かつてない情勢のもとでの、かつてない挑戦の選挙戦」となるとして、「四つの構え」を堅持してたたかうことを呼びかけました。この決定にてらしてみたときに、多くの積極的教訓を確認できるとともに、今後の課題も浮き彫りとなります。

野党共闘勝利と共産党躍進の一体的追求―重要な成果、率直な反省も

 第一に、「野党共闘の勝利と、『比例を軸』にした日本共産党の躍進を一体に追求する」という点では、全体として、両者の相乗的推進がはかられ、重要な成果をあげることができました。野党共闘に誠実に力をつくすわが党の姿勢は共感を広げ、「比例を軸」にした党躍進をめざす取り組みを推進する大きな力になりました。

 同時に、各県からの報告では、新しい方針のもとでの実践への率直な反省も寄せられました。その一つは、「野党共闘での選挙区選挙に手を取られ、比例の対策が弱かった」、「対話で選挙区が中心となり、比例がつけたしになった」などというものです。いま一つは、「比例代表の新しい目標である『850万票、15%以上』をやり抜く構えを支部まで確立する指導、援助が十分にされず、事実上は『やれるだけやる』ということになった」というものであります。総選挙に向けての教訓としたいと思います。

働きかけの質と量―「メッセージの伝え方」で教訓、やるべきことをやりきれず

 第二に、「『政治は変えられる』という希望を広げ、空前の規模での働きかけを行う」という点では、「メッセージの伝え方」を探究し、ビラ、ポスターなど宣伝物の大胆な刷新に取り組み、「日本共産党は政治をこう変える」というポジティブな(前向きの)メッセージが伝わるものにするなど、多くの貴重な教訓をつくりました。

 同時に、党員と支持者のみなさんの猛奮闘にもかかわらず、働きかけの規模という点では、やるべきことをやりきれずに開票を迎えました。対話と支持拡大の規模は、前回参院選比で対話は96%、支持拡大は93%、目標比で支持拡大は50%にとどまりました。ポスター、ビラを活用しきれなかった党組織を残しました。情勢にわが党の働きかけが追いついていない。この弱点の打開は今後の大きな課題であります。

市民とともにたたかう―今後に生きる大きな財産を築いた

 第三に、「『市民・国民とともにたたかう』、かつてない壮大な選挙戦を展開する」という点では、戦争法廃止の2000万署名、TPP(環太平洋連携協定)、原発、沖縄など「一点共闘」がかつてなく広がったことを背景に、また野党共闘の流れがつくられるもとで、市民、国民とともにたたかう画期的な選挙戦をたたかうことができました。

 各県からの報告でも、選挙戦を通じて、これまで接点がなかった広大な人々との信頼と連帯の絆がつくられたことが、生きいきと語られています。今後に生きる大きな財産を築いたことは、選挙戦をたたかった多くの支部と党員のみなさんの実感だと思います。

若い世代への働きかけ―斬新な宣伝物など全党的に新しい努力が

 第四に、「若い世代への働きかけを思い切って活動全体の柱にすえる」という点でも、全党的に新しい努力がされました。若者向けパンフレット=『JCPマガジン』は、斬新な宣伝物として「これなら友だちにわたせる」と大歓迎され、最後まで活用が広がりました。全国の党機関で、若者向け宣伝物が多様に発行され、ネット・SNS発信も広がりました。まだ一歩ではありますが、全党が若い世代に働きかけ、手ごたえを得たことは重要な成果であります。

党の自力の問題―最大の弱点であり反省点

 やるべきことをやりきれなかった根本には、党の自力の問題があります。

各県からの報告から―量的指標、世代的継承、党機関の体制

 第26回党大会以降、「躍進月間」「大運動」という2度の集中的な取り組みをはじめ、党勢拡大の努力が行われました。多くの新入党員のみなさんが、選挙戦のなかで新鮮な活力を発揮して奮闘しました。また、若手幹部の成長を援助する系統的な取り組みによって、国政でも地方政治でも20代、30代、40代の若手議員・候補者が増え、大活躍していることは、わが党の大きな希望であります。

 同時に、党の自力の問題が、私たちの最大の弱点であり反省点であることは、各県からの報告で共通して寄せられていることであります。

 量的指標を報告しますと、私たちは、今回の参院選を、2013年参院選比で、党員数は94・8%、「しんぶん赤旗」日刊紙読者は92・6%、日曜版読者は91・5%でたたかいました。日曜版読者1人あたりの得票は5・00票から6・39票へとさらに広がりました。

 世代的継承は待ったなしの大問題となっています。職場支部は、「団塊世代」の党員が退職し、存続の危機に直面しているところが少なくありません。多くの地域支部は年配の党員が活動の中心を担い、さまざまな困難を抱えながら奮闘しています。運動団体のグループ・支部が減少し、分野別後援会の力が後退しています。

 党機関の体制について、非常勤の同志を結集しての先駆的経験が生まれていますが、常勤常任委員の減少などによって、指導体制が弱まり、支部への指導・援助が届かない、党のもてる力を引き出せないなどの悩みが報告されています。

国民のなかに分厚い党をつくることがいかに大切か―29の地区委員会の教訓

 国民のなかに分厚い党をつくることがいかに大切か。一つの具体的な事例を報告したいと思います。

 今回の参院選の比例代表で15%以上の得票率を獲得した地区委員会が、全国で29あります。29の地区委員会が獲得した比例代表の得票率は平均で17・6%、党員は有権者比で平均0・66%、日刊紙読者は有権者比で平均0・43%、日曜版読者は有権者比で平均1・55%となっています。

 第26回党大会は、2010年代に「成長・発展目標」を実現するために、50万の党員(有権者比0・5%)、50万の日刊紙読者(有権者比0・5%)、200万の日曜版読者(有権者比2・0%)――全体として「党勢倍加」に挑戦することを決めています。いま紹介したように、29の地区委員会は、この「党勢倍加」水準を超えるか、それに迫る分厚い党をもっています。全国すべての地区委員会が、29の地区委員会の水準まで党建設を前進させるならば、「成長・発展目標」に接近・実現するたしかな保障が築かれることを、私は、強調したいと思うのであります。

 野党と市民の共闘、日本共産党の躍進という二つの大仕事をやり抜くためには、党の自力の弱点を克服し、強く大きな党をつくることが絶対不可欠であります。

 このことを参院選の最大の教訓として銘記し、この歴史的激動の情勢を主導的に切り開く強大な党をつくる決意を新たにしようではありませんか。

総選挙に向けた取り組み、野党共闘について

「比例を軸に」を貫き「850万票、15%以上」、小選挙区必勝区の攻勢的設定

 次の国政選挙は総選挙となります。総選挙に向けた取り組み、野党共闘について報告します。

 きたるべき総選挙では、参院選の成果を踏まえ、二つの大目標――野党と市民の共闘を本格的に前進させるとともに、「比例を軸に」の方針を貫き、比例代表で「850万票、15%以上」を目標に日本共産党の躍進に挑戦します。すべての支部が、「850万票、15%以上」に対応する得票目標、支持拡大目標を決め、それをやりきる「政策と計画」を決め、後援会と協力し、日常的に党の支持を増やし、固める活動に取り組みます。

 いついかなる解散・総選挙にも攻勢的に対応できるよう、政治目標にみあう比例代表ブロック予定候補者の決定、小選挙区予定候補者のすみやかな決定をはかります。党として、小選挙区での野党共闘の実現の努力と一体に、小選挙区必勝区を攻勢的に設定し、小選挙区での議席を増やす取り組みに積極果敢に挑戦します。

総選挙での野党共闘―到達点ふまえ、真剣な協議開始を呼びかける 

 総選挙における野党共闘についてのべます。日本共産党は、「安保法制廃止、立憲主義回復」をはじめ、大義に立った野党と市民の共闘を、総選挙でも発展させるために、あらゆる力をつくします。

 衆議院選挙は選挙区全てが1人区=小選挙区であるだけに、野党共闘が実現すれば、多くの小選挙区で与野党が逆転し、情勢の大激変をつくることが可能です。とくに現在与党が握っている憲法改定に必要な国会の基盤を崩すことは十分可能であります。

 総選挙での野党共闘を発展させるうえでは、この間の到達点をしっかりと踏まえることが重要であります。

 野党4党は、党首会談で、(1)安保法制の廃止、立憲主義の回復、(2)アベノミクスによる国民生活破壊、格差と貧困を是正する、(3)TPPや沖縄問題など、国民の声に耳を傾けない強権政治を許さない、(4)安倍政権のもとでの憲法改悪に反対する――という4点で、安倍政権に対決する政治的内容を確認しています。

 総選挙でも「できる限りの協力」を行うことは、野党4党の党首会談、書記局長・幹事長会談で繰り返し確認されている公党間の合意事項であります。

 野党共闘が大きな威力を発揮したことは、参院選1人区の結果を見れば、誰も否定できない事実であります。

 日本共産党は、これらの到達点にたち、総選挙で野党共闘をさらに発展させるために、民進党、社民党、生活の党に対して、真剣な協議を開始することを呼びかけます。

 総選挙での選挙協力を進めるためには、豊かで魅力ある共通政策を練り上げること、政権問題で前向きの合意をつくること、本格的な相互協力・相互支援を実現することなど、新しい課題がありますが、市民運動の方々とも協力し、互いに誠意をもって真剣な協議をつくすならば、それらは乗り越えていくことが可能だと確信するものです。

政党間の共闘とはそもそも何なのか

 ここで政党間の共闘とはそもそも何なのかについて、私たちの考えをのべておきたいと思います。

 「綱領、理念、政策の違うものとは協力できない」という議論があります。しかし、「綱領、理念、政策」が同じなら同じ政党になります。政党の共闘と、政党の合同とはまったく違う問題であることは、論ずるまでもありません。

 政党というのは、綱領も違えば、それぞれがめざす日本社会の将来像も違います。だからこそそれぞれが独自の政党をつくっているのです。そうした政党が共闘するということは、綱領も将来像も違うものが、互いに相違点を相手に押しつけることはせず、社会発展の今の段階で、国民の切実な要求と利益にかなう当面の一致点で、力をあわせるということであり、ここに政党間の共闘の基本があります。

 野党連合政権は、国政に責任を負う政権を共同で担うわけですから、当面の課題での共闘、選挙共闘よりも、さらに進んだ形態の共闘となりますが、それでも、国民の切実な要求と利益にかなう当面の一致点で、力をあわせるということには変わりはありません。日本共産党は、「国民連合政府」を提唱していますが、この政権も、「安保法制廃止、立憲主義回復」という直面する国民的大義を実行するために力をあわせようというものであります。

 野党共闘が、政党間の共闘のこうした基本に立って発展することを、私たちは強く希望するものであります。

衆院補欠選挙への対応、野党共闘と共産党攻撃を打破するたたかい

 総選挙での野党共闘を展望しても、安倍政権の暴走政治への審判という点でも、10月23日投票の東京10区、福岡6区の衆議院補欠選挙は重要であります。日本共産党は、野党共闘を実現し、勝利をかちとるために力をつくします。中央段階でのすみやかな協議を呼びかけるものです。

 政府・与党、一部メディアによる野党共闘攻撃、日本共産党攻撃は、参院選後も執拗(しつよう)に続けられており、それを打ち破ることは引き続き重要な課題です。安倍政権の別動隊として、憲法改定、野党共闘攻撃の先兵となっている「維新の会」の役割を広く明らかにしていくことも、重要であります。

 大きな成果をあげた参議院選挙に続き、総選挙でも野党と市民の共闘を発展させ、安倍政権を打倒し、新しい政治を築くために全力をあげようではありませんか。

2、国際問題―北朝鮮問題、アジア政党国際会議について

 つぎに国際問題のいくつかの焦点について報告します。

北朝鮮の核・ミサイル開発に国際社会はどう対応すべきか

 9月9日、北朝鮮は、5回目となる核実験を強行しました。核実験は、連続する弾道ミサイル発射とともに、世界の平和と安定にとっての重大な脅威であり、累次の国連安保理決議、6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙であります。わが党は、この無法な暴挙をきびしく糾弾するという態度を表明しました。

軍事対軍事の危険な悪循環をさらに深刻にする道でなく、対話による解決に徹する 

 北朝鮮の核・ミサイル開発に国際社会がどう対応すべきか。次の二つの点を強調したいと思います。

 第一は、軍事対軍事の危険な悪循環をさらに深刻にする道ではなく、対話による解決に徹することが何よりも重要であるということです。

 3月3日に全会一致で採択された国連安保理決議は、北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射を「最も強い言葉で非難」し、制裁措置の強化を決定するとともに、「6カ国協議への支持を再確認し、その再開を呼びかけ、2005年9月の共同声明での誓約への支持を再表明する」とのべています。

 核・ミサイル開発を放棄させるために北朝鮮を6カ国協議という対話のテーブルにつかせる、そのために中国を含む国際社会が一致して制裁の厳格な実施、強化をはかることなど、政治的・外交的努力を抜本的に強めることが重要であります。

国際社会が本気になって「核兵器のない世界」への具体的行動に取り組む 

 第二に、より根本的には、国際社会が本気になって「核兵器のない世界」への具体的な行動に取り組むことがいよいよ重要となっています。

 すなわち、国連加盟国の大多数、市民社会の運動が求めているように、核兵器禁止・廃絶条約の国際交渉開始という方向に進むことが、北朝鮮の核開発の口実を失わせ、核開発放棄を迫るうえで、いよいよ急務となっています。国際社会が「われわれはもう核を捨てる。だからあなたも捨てなさい」と迫ることが、北朝鮮に対して、一番強い立場に立つことになることを、強調したいと思うのであります。

アジア政党国際会議について(1)―核兵器禁止条約をめぐって

アジア政党国際会議第9回総会と日本共産党代表団の活動 

 9月1日〜3日、マレーシアのクアラルンプールでアジア政党国際会議(ICAPP)第9回総会が開催されました。この国際会議とのかかわりで浮き彫りとなったいくつかの重大な国際問題について、多少立ち入って報告しておきたいと思います。

 アジア政党国際会議は、アジアで活動する政党が、与野党の別なく、イデオロギーの違いを超えて、一堂に会し、アジアと世界の平和と協力について話し合う、ユニークなフォーラムとして発展してきました。日本共産党は、この国際会議を重視し、第2回のバンコク総会から連続して参加してきました。今回の総会には35カ国から87政党の代表が参加し、そのなかには約30の政権党も含まれ、各国の主要野党も参加するなど、代表性の高い会議となりました。日本からの参加は日本共産党と民進党でした。

 今回の総会で、日本共産党代表団は、「東アジアの平和、核兵器のない世界をどう築くか」というテーマで発言するとともに、「クアラルンプール宣言」を良いものに仕上げるために奮闘しました。

浮き彫りになった中国の問題点について

 日本共産党代表団は、最終日に採択された「クアラルンプール宣言」に対して、核兵器問題の項目に関して「部分的保留」を表明しました。2010年のプノンペン総会、2014年のコロンボ総会と、過去2度の総会宣言で明記されていた「核兵器禁止条約の速やかな交渉開始」が欠落するという重大な後退が起こったからであります。

 中国共産党代表団が、国際会議の民主的運営を乱暴に踏みにじり、宣言採決の直前になって、この部分の削除を強硬に求め、削除されるという結果になりました。その経過については、「しんぶん赤旗」紙上で詳しく明らかにしている通りですが、総会を通じて浮き彫りになった中国の問題点について次の点を指摘しておきたいと思います。

 第一は、核兵器問題で中国に深刻な変質が起こっていることであります。中国はある時期までは核兵器禁止の国際条約を繰り返し求めてきました。ところがこの数年間、変化が起きています。それが際立ってあらわれたのが、昨年秋の国連総会で、核兵器の禁止・廃絶に関する法的措置を議論する作業部会(OEWG)の設置を提案する決議案に、中国が、P5・核保有五大国の一員として頑強に反対する態度をとったことであります。

 この国連総会では、P5を代表してフランスが態度表明を行い、「段階的なアプローチ」(ステップ・バイ・ステップのアプローチ)が「核軍縮に向けて前進する唯一の実際的な選択肢」と主張し、核兵器禁止条約に反対する態度を表明しました。「段階的なアプローチ」論こそ、「核抑止力」論にしがみつく核兵器固執勢力が最後の「論拠」としているものですが、中国は、この立場に公然と身を移したのであります。

 少なくとも核兵器問題については、中国はもはや平和・進歩勢力の側にあるとはいえません。P5の代弁者として、「核兵器のない世界」を求める動きに対する妨害者として立ち現れています。その立場がむきだしの形であらわれたのが、今回のアジア政党国際会議総会での中国共産党代表団のふるまいでした。核兵器問題は、外交問題のあれこれの部分的な一つではありません。人類にとって死活的な緊急・中心課題であります。この問題での変質は、きわめて重大だといわなければなりません。

 第二に、中国共産党代表団は、自分たちの主張を押しつけるために、アジア政党国際会議の民主的運営を乱暴に踏みにじりました。「クアラルンプール宣言」の採択にいたる過程で、わが党は、「核兵器禁止条約の速やかな交渉開始の呼びかけ」を宣言に盛り込む修正案を提起しました。宣言起草委員会は、中国を含めて全員一致でわが党の修正案を受け入れることを確認し、最終日に参加者全員に配布された宣言案はわが党の修正案を取り入れたものとなりました。ところが宣言採択の直前になって、中国共産党代表団は、この部分の削除を強硬に求めました。宣言起草委員会が全員一致で確認したことを、最後になって一方的に覆す。これは覇権主義的なふるまいそのものであります。

 第三に、今回の総会での中国共産党代表団のふるまいは、日本共産党と中国共産党の両党関係にとっても重大な問題であります。日本共産党代表団は、中国共産党代表団に対して、修正案の内容が宣言に盛り込まれるよう、真摯(しんし)に話し合いを求め、協力を要請しました。ところが中国共産党代表団は、わが党の協力要請を、まともな理由を一つも示すことなく拒否したうえ、最後は「覇権主義」という悪罵を投げつけるという態度をとりました。これは、1998年6月、32年にわたるわが党への無法な干渉への中国共産党側の反省の上に、「日本共産党と中国共産党との関係正常化についての合意」で確認し、それ以来、両党関係を律する基準としてきた原則とはまったく相いれない態度であります。

日本共産党第26回党大会決定にてらして

 日本共産党第26回党大会決定は、“社会主義をめざす国ぐに”――「社会主義をめざす新しい探究が開始」(綱領)された国ぐにについて、「覇権主義や大国主義が再現される危険もありうる」と指摘し、「旧ソ連のような致命的な誤りを、絶対に再現させないことを願っている」と表明しました。

 また、「いやおうなしに資本主義国との対比が試される」と指摘し、「国際活動で覇権主義を許さない世界秩序の確立にどれだけ真剣に取り組んでいるか」、「核兵器廃絶、地球温暖化などの人類的課題の解決にどれだけ積極的役割を果たしているか」などを、重要な指標としてあげました。この決定にてらして、今回の中国共産党代表団の行動は重視しなければなりません。

核兵器固執勢力が追い詰められ、妨害者としての態度をあらわにしている

 大局的に見れば、核兵器固執勢力は、世界の諸国民・諸国家の反核平和の声に追い詰められています。

 昨年の国連総会の決定で、核兵器の禁止・廃絶に関する作業部会が設置され、その作業部会が、核兵器禁止条約の締結交渉を来年中に開始することを国連総会に勧告する報告書を採択し、核兵器禁止条約の交渉が来年にも開始されるかどうかが国際政治の熱い焦点になっています。

 9月18日、非同盟諸国首脳会議が採択した宣言には、「核兵器禁止条約の交渉を緊急に開始することを要求する」と明記されました。

 「核兵器のない世界」の扉を開く新たな画期的な動きが起こるもとで、核兵器固執勢力が追い詰められ、妨害者としての態度をあらわにしている。これがいま起こっていることにほかなりません。

 未来は「核兵器のない世界」を求める国際世論と市民社会の運動の側にあります。ここに深い確信をもって、力をつくそうではありませんか。

アジア政党国際会議について(2)―領土紛争の解決をめぐって

 「クアラルンプール宣言」をめぐって、もう一つの焦点となったのは、領土紛争の解決についてであります。

「力による現状変更」を厳に慎み、国際法に従った平和的解決を

 わが党は、総会の発言のなかで、「東アジアに平和秩序を築いていくために、北東アジア、東南アジアに共通する問題」として、次のように表明しました。「領土に関する紛争問題の解決にあたっては、力による現状変更、武力の行使および威嚇など、紛争をエスカレートさせる行動を厳に慎むことを、とくに強調したいと思います。国連憲章と国際法の普遍的に承認された原則に従い、友好的な協議および交渉によって紛争を解決するという姿勢に徹すること、それを保障するための行動規範を結ぶことが大切です」

 国際会議の性格上、名指しの批判は控えましたが、「力による現状変更」という点で念頭においたのは、東シナ海の尖閣諸島、南シナ海の南沙諸島などでの中国のふるまいであります。「国際法の普遍的に承認された原則に従い」という点で念頭においたのは、南シナ海水域に対する中国の独自の権利主張を、国際法上「根拠がない」と退け、紛争の平和的解決を促した、7月の常設仲裁裁判所の裁定(判決)に対して、中国が「茶番」などと激しい非難をくわえていることであります。

東シナ海、南シナ海でのふるまいをあらため、仲裁裁判所裁定の受け入れを求める

 総会宣言でも、この問題が大きな焦点となりました。中国共産党代表団は、領土紛争を「国際法を基礎」として解決することを宣言に書き込むことに強く反対しました。わが党は「国際法を基礎」とするという言葉を明記する修正案を提起し、多くの諸党も同様の主張を行いました。日本の民進党代表も「国際法を基礎」とすべきだとの主張を行いました。こうした各党の努力によって、最終的には「国際法を基礎として平和的に解決する」ことが宣言に明記される結果となりました。

 仲裁裁判所の裁定を受け、ASEAN(東南アジア諸国連合)が、忍耐力、弾力性を発揮してその団結を守り、7月の外相会談での声明、9月の首脳会談での声明で、南シナ海問題について、「国連海洋法条約を含む国際法の普遍的に承認された原則」「法的および外交プロセスの全面尊重」による平和的解決を確認したことは、重要であります。わが党は、ASEANの声明を強く支持し、この方向で事態の前向きの打開がはかられることを願うものであります。

 日本共産党は、中国に対して、東シナ海、南シナ海における力による現状変更の動きを中止すること、南シナ海問題での仲裁裁判所の裁定を受け入れることを強く求めるものであります。

 日本共産党は、半世紀以上にわたって堅持してきた自主独立の精神を発揮し、世界の平和と進歩のために、どんな大国に対しても、事実と道理にたって言うべきことは正面から言うという姿勢を貫くことを、表明するものです。

3、情勢の特徴と秋のたたかいの課題について

 つぎに情勢の特徴と秋のたたかいの課題について報告します。

広がる安倍政権と国民の矛盾―各分野で安倍暴走政治を包囲するたたかいを

 この秋、安倍政権は、平和、民主主義、暮らしを壊す暴走政治を加速しようとしています。それらはすべて参議院選挙では国民にひた隠しにしてきたものばかりであり、こうした「だまし討ち」の政治が、国民との矛盾を広げることは必至であります。

 参院選では、安倍政権の「争点隠し」が通用しなかった東北、福島、沖縄などで、国民は安倍政権に厳しい審判を突きつけました。安倍政権のごまかしが通用しなくなるところまで、国民の切実な要求にもとづき、各分野で安倍暴走政治を包囲するたたかいを発展させることを、強く呼びかけます。

当面するたたかいの課題―秋はどういう局面になるか

 当面するたたかいの課題について、この秋はどういう局面になるかについて、端的に報告したいと思います。

安保法制=戦争法は全面的な運用段階に――発動許さず、廃止求めるたたかいを

 安保法制=戦争法が全面的な運用段階に入っています。(1)米軍と自衛隊との共同訓練を、安保法制と集団的自衛権の発動を前提にしたものに変質・強化する、(2)南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵している自衛隊の任務を拡大し、武器使用を拡大する――などがその焦点となっています。

 この1年間、毎月、戦争法が強行された「19日」には、全国で廃止を求める行動が続けられてきましたが、戦争法強行1周年の昨日(9月19日)には、中央と全国各地で、数万人が参加して、一大行動が取り組まれました。安保法制=戦争法の発動を許さず、廃止を求めるたたかいをさらに発展させようではありませんか。

 南スーダンでは、自衛隊が駐留する首都ジュバで、7月、政府軍と反政府軍の戦闘が激化し、多数の死傷者を出すなど、内戦の悪化が深刻であります。8月の国連安保理決議では、南スーダンPKOに事実上の先制攻撃を可能にする権限が与えられました。自衛隊派兵の前提となる停戦合意など「PKO参加5原則」が崩壊していることはいよいよ明瞭であります。日本共産党は、自衛隊を南スーダンから撤退させ、日本の貢献は、憲法9条にたった非軍事の人道支援、民生支援を抜本的に強化する方向に転換することを強く求めるものであります。

憲法問題―「自民党改憲案」=「安倍政権のもとでの憲法改悪は許さない」

 憲法問題では、安倍首相が、参議院選挙後、「いかにわが党の案をベースにしながら3分の2を構築していくか。これがまさに政治の技術と言ってもいい」と公言するもとで、「自民党改憲案」が、現行憲法の平和主義、国民主権、基本的人権を根底から覆し、立憲主義を破壊するものであり、どこをとっても「改憲案のベース」にしてはならないことを徹底的に明らかにし、それを許さない国民的たたかいを広げることが急務となっています。「安倍政権のもとでの憲法改悪は許さない」――これは4野党が共通して掲げた公約であり、この一点での共同のたたかいを発展させることを心から呼びかけるものです。

 国民の思想・信条を罰し、国民を日常的な監視下におく、「共謀罪」の創設を断念に追い込むたたかいを広げようではありませんか。

暮らしと経済―社会保障、労働法制をめぐるたたかいが重大局面に

 暮らしと経済をめぐっては、「アベノミクス不況」がいよいよ深刻になるもとで、リニア建設をはじめ借金頼みの大型開発への「バラマキ」が急浮上しています。破たんが証明ずみの愚行の中止、暮らし応援の経済対策を求めてたたかいます。

 社会保障をめぐって、医療・介護・生活保護などの大改悪案が政府の審議会で出され、来年の通常国会に法案・予算案を提出するという暴走が始まっています。介護保険の大改悪に対しては、ヘルパー・ケアマネジャーの全国組織や福祉用具業界がこぞって反対を表明、政府の審議会でも日本医師会、介護事業者の団体、自治体関係者などから異論が噴出しています。社会保障大改悪を許さない共同を大きく広げましょう。

 労働法制をめぐって、安倍首相は「働き方改革」の名で、「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」などに取り組むとしています。しかし、実際に、国会に提出し、秋の臨時国会で成立させようとしているのは、長時間労働・過労死をさらにひどくする「残業代ゼロ法案」であります。労働時間規制という労働法制の根幹を崩す大改悪を力あわせ必ず阻止しましょう。残業時間の上限を法的に規制するなど労働基準法の抜本改正、ブラック企業の規制、労働者派遣法の抜本改正をはじめ非正規から正社員への流れをつくる雇用のルールの強化など、人間らしく働けるルールをつくるために力をあわせようではありませんか。

 学費値下げと給付制奨学金制度の創設、認可保育所・公立保育所の緊急増設と保育士の賃上げ・労働条件改善に、国が取り組むことを要求してたたかいます。

TPP―協定の国会批准阻止の一点での共同を広げに広げよう

 安倍政権は、秋の臨時国会で、TPP協定の批准を強行しようとしています。多国籍企業がグローバルにもうけるシステムを拡大し、国内産業・雇用を犠牲にしてもかまわないというTPPへの不安と批判は、農業関係者だけでなく、広く国民諸階層に広がっています。それは、他のTPP協定参加国の国内においても広がっています。

 この矛盾は、アメリカでも、大統領候補がそろって現行のTPP協定に反対を表明するという形であらわれています。民主党、共和党ともに、TPPからの撤退を主張しているのではなく、現在の協定では「国益は守れない」というものですが、アメリカの動きは、多国籍企業と米国国民の矛盾を反映したものとして、注目されます。

 TPPの本質は、巨大多国籍企業の利潤追求のために、関税を撤廃し、食の安全、医療、雇用、保険・共済、国・自治体の調達など、あらゆる分野の「非関税障壁」を撤廃することにあります。亡国のTPP協定を、異常な秘密主義で真相を隠したまま国会で批准することは、絶対に認められません。TPP協定の国会批准阻止の一点での共同を広げに広げようではありませんか。

原発再稼働への暴走が深刻な矛盾に―「原発ゼロの日本」を求めるたたかいの発展を

 安倍政権による原発再稼働の暴走が、深刻な矛盾に突き当たっています。原発再稼働のために福島原発事故を「終わったもの」としようとし、避難指示の解除をすすめ、賠償打ち切りをはかる姿勢が、被災者に大きな苦しみを強いています。原発事故は収束の見通しがたたないうえ、「凍土壁が凍らない」という事態となり、汚染水対策の「切り札」がとん挫、ここでも破たんが深刻であります。

 川内(せんだい)原発の再稼働を容認した前知事に大差をつけて当選した鹿児島県の三反園訓(みたぞの・さとし)知事が、川内原発の一時停止を九州電力に申し入れるなど、全国各地で自治体との矛盾が噴き出しています。

 政府・与党は、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を検討せざるを得なくなっています。これは「核燃料サイクル」の破たんを意味するとともに、より根本的には使用済み核燃料の処理方針の破たんを意味するものです。「核燃料サイクル」からの撤退とともに、原発再稼働をやめさせることは、いよいよ急務です。

 原発事故から5年が経過したもとでも、世論調査で原発再稼働反対は5割をこえています。国民多数の声にこたえ、再稼働ストップ、「原発ゼロの日本」を求めるたたかいを発展させようではありませんか。

沖縄の米軍基地問題―強権、無法許さず、全国が連帯のたたかいを

 沖縄の米軍基地問題が、新たな重大局面となっています。参議院選挙直後から、安倍政権は、沖縄に対する異常な強権をむき出しの形でふるっています。東村高江のヘリコプター(実態はオスプレイ)着陸帯建設の強行、沖縄県との話し合いを拒否した一方的な提訴、法律を無視した辺野古工事の再開、米軍伊江島飛行場での一方的な建設工事の強行など、文字通りの強権、無法が横行しています。絶対に許すわけにはいきません。

 9月16日、福岡高裁那覇支部は、辺野古埋め立て承認を取り消した翁長知事を国が訴えた訴訟で、知事が承認取り消しの撤回に応じないのは違法だとする不当判決を出しました。翁長知事は、判決に強く抗議し、最高裁に上告し、高裁判決の破棄を求める考えをのべ、「まだまだ長い、長いたたかいになろうかと思います。私自身は、新辺野古基地は絶対に造らせないという信念をもってこれからも頑張っていきたい」と不屈にたたかいぬく決意を表明しました。地方自治、民主主義を全面否定する不当判決は、沖縄県民の怒りと結束をいっそう強めることになるでしょう。

 安倍政権の強権、無法は、沖縄県民のたたかい、2014年の知事選、総選挙に続く、7月の参院選での沖縄県民の審判によって追い詰められた結果であります。中央委員会総会の意思として、沖縄県民のたたかいに、全国が連帯のたたかいを起こすことを、心から呼びかけるものであります。

たたかいの構えとして―二つの点について

 当面するたたかいの課題について報告しましたが、その全体に共通するたたかいの構えとして、二つの点を強調したいと思います。

国民の立場に立った対案を示し、実現のために力をつくす

 第一は、日本共産党は、どんな問題でも、国民の立場にたった対案を明らかにしており、それを堂々と対置し、実現のために力をつくすことであります。

 わが党は、第26回党大会で「北東アジア平和協力構想」を提唱しましたが、これは安保法制=戦争法に対する抜本的な平和の対案となっています。この3年間、わが党の「構想」に対して、内外で評価と賛同が広がっています。9月1日、わが党代表団が、マレーシア政府のシンクタンク、マレーシア戦略国際問題研究所(ISIS)を訪問し、ウォン次長と懇談したさいに、先方からわが党の「構想」に対して、「きわめて具体的だ」「ISISの中でも北東アジアでのTAC(友好協力条約)の議論を始めている」との評価と反応が寄せられたことを、報告しておきたいと思います。

 憲法問題で、安倍首相は、「野党には対案がない」と言いますが、まったく的外れの攻撃であります。日本共産党は、「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」という明確な対案を掲げ、そのことを綱領でも明記している党です。自民党政治のもとでつくられた日本国憲法の平和的民主的諸条項に反するさまざまなゆがみをとりのぞき、憲法の先駆的な値打ちが全面的に生きる日本への改革を行う。抜本的な改革者としての対案を掲げているのが日本共産党であります。

 わが党が参院選で訴えた「格差をただし、経済に民主主義を確立する三つのチェンジ」は、迷走し破たんする「アベノミクス」への抜本的対案となっています。安倍政権は、2度の消費税増税延期で、財源をどうまかなうのかの道筋が示せず、深刻な行き詰まりに陥っています。そうしたもとで、「負担能力に応じた負担」の原則にたって「税金の集め方を変える」というわが党の提案は、いよいよ「これしかない」という必然性、現実性をもった対案となっています。「税金の使い方を変える」「働き方を変える」の一つひとつの提案も、それぞれが国政の熱い焦点となるもとで、いよいよ生きた力を発揮しています。

野党と市民の共闘をさらに発展させる原動力は、国民、市民のたたかいにある 

 第二に強調したいことは、野党と市民の共闘を発展させる原動力は、国民、市民のたたかいだということであります。

 参院選にむけた野党共闘を生み出した原動力は、安保法制=戦争法に反対し、立憲主義回復を求める国民、市民のたたかいにありました。

 総選挙にむけて野党共闘を発展させる何よりもの保障となるのは、国民、市民のたたかいをさらに発展させることであります。

 参議院選挙で野党が掲げた共通政策の実現をめざし、中央段階でも、地域でも、野党と市民の共同のたたかいを発展させましょう。

 そうしたたたかいと一体に、総選挙に向けて、国民の願いにこたえる野党の共通政策をさらに充実させるために、知恵と力をつくしましょう。

 この秋、あらゆる分野で、国民の切実な要求にもとづき、安倍暴走政治を包囲するたたかいをおこし、それを大きく合流させて、安倍政権打倒をめざすたたかいを前進させようではありませんか。

4、第27回党大会の招集と意義について

 ここで第27回党大会の招集について提案します。

 党規約第19条は、「党大会は、中央委員会によって招集され、二年または三年のあいだに一回ひらく」としています。第26回党大会は、2014年1月15日から18日に開催されたので、党規約にてらせば、2017年の1月までに第27回党大会を開催することが必要であります。

 第6回中央委員会総会として、第27回党大会の開催を以下の通り決定することを提案します。招集日は2017年1月15日(日)とし、会期は18日(水)までの4日間とします。場所は、党伊豆学習会館で行います。議題は、(1)大会決議と中央委員会報告、(2)新中央委員会の選出、(3)その他――とします。

 以上が提案であります。

 第27回党大会は、野党と市民の共闘の前進、日本共産党の“第3の躍進”の発展、2010年代に「成長・発展目標」を達成することをめざし、内外情勢の分析と、この3年間の党活動の総括を行い、今後の方針を決定する歴史的意義をもつ党大会になります。

5、「第27回党大会成功をめざす党勢拡大大運動」を呼びかける

 第6回中央委員会総会として、第27回党大会の成功をめざして、党勢拡大に思い切って力を集中する大運動――「第27回党大会成功をめざす党勢拡大大運動」に取り組むことを呼びかけます。「大運動」の期間は、6中総から党大会を開く1月末までの4カ月余とし、強く大きな党づくりのために、全党があらゆる力をそそぐことを訴えます。

「大運動」の目標について

 「党勢拡大大運動」は、党員拡大を根幹にすえた党勢拡大の運動とし、その目標は次の2点とします。

 第一に、党員拡大では、「大運動」期間中に、すべての党支部・グループが新しい党員を迎えることを目標とし、全党的に2万人の党員拡大に挑戦します。

 党規約通りの入党の働きかけを行うとともに、新入党員教育を行い、「党生活確立の3原則」(支部会議への参加、日刊紙の購読、党費の納入)を大切にして、一人ひとりが成長することに責任を負うことを重視します。

 世代的継承をとくに重視しましょう。すべての都道府県、地区委員会、支部・グループが、「大運動」期間中に、若い世代、現役世代の党員を迎える目標と計画をもち、特別の努力を傾けましょう。全党あげて、民青同盟への親身な援助を強め、同盟員を増やし、民青班をつくりましょう。

 第二に、「しんぶん赤旗」の読者拡大では、すべての都道府県、地区委員会、支部・グループが、第26回大会時水準の回復・突破をめざします。全党的には日刊紙で2万人増、日曜版で10万5千人増をめざします。

 読者と結びつき、その要求にこたえる活動を強め、配達・集金活動の改善をはかり、「しんぶん赤旗」中心の党活動を定着させる努力と一体に、読者拡大の飛躍をかちとりましょう。

「大運動」の政治的意義―三つの点について

 この「大運動」の政治的意義として、次の3点を強調したいと思います。

第26回党大会期の活動の総仕上げ

 第一に、いま党勢拡大で大きな飛躍をつくることを、第26回党大会期(2014年1月〜17年1月)の活動の総仕上げとして位置づけて取り組みたいと思います。

 第26回党大会からの2年8カ月を振り返りますと、党大会決定を指針に、全党の奮闘で、各分野で目覚ましい成果をあげてきたということがいえます。

 2014年12月の総選挙での躍進、15年4月のいっせい地方選挙での躍進、16年7月の参院選での大健闘と、“第3の躍進”を連続的に発展させ、国政と地方政治での地歩を大きく高めました。各分野での「一点共闘」が大きく前進し、戦後かつてない新しい市民運動がつくりだされました。戦後はじめて全国的な規模での選挙協力が実現し、最初の実を結ぶなど、統一戦線運動でも画期的な一歩を踏み出しました。

 党活動全体のなかで、党建設は最も遅れた分野となっています。党大会が掲げた「2010年代に党勢の倍加、世代的継承」という二大目標実現では、「躍進月間」と「大運動」をはじめ、全党の粘り強い努力が重ねられてきましたが、大きく立ち遅れています。この分野での立ち遅れを打開し、躍進がつくられるなら、第26回党大会期は、あらゆる面で歴史的躍進を築いた時期として、党史に残ることになるでしょう。「大運動」の成功を必ずかちとり、第26回党大会が決めた方針を総達成しようではありませんか。

きたるべき総選挙で勝利・躍進をかちとる最大の保障

 第二に、きたるべき総選挙で、野党と市民の共闘を本格的に前進させるとともに、2010年代の「成長・発展目標」達成をめざし、比例代表で「850万票、15%以上」を実現するためには、草の根で国民と結びついた活力ある党をつくることが、いまどうしても必要であります。

 わが党は、この間の国政選挙で連続的に躍進・前進をかちとりましたが、党建設では後退傾向を脱することができず、そのギャップは選挙のたびに広がっています。これを打開することなしにさらなる躍進の保障はありません。

 野党と市民の共闘、日本共産党の躍進という二つの大仕事を同時にやり抜くためには、質的にも量的にも強く大きな党をつくることが必要であることは、参院選の体験を通じても痛感させられたことです。激しい野党共闘攻撃、日本共産党攻撃を打ち破るうえでも、強大な日本共産党を建設することは不可欠であります。

新たな条件と可能性をくみつくそう

 第三に、いま党勢拡大の空前の条件と可能性が広がっており、それをくみつくした取り組みを行うことを呼びかけたいと思います。

 わが党が野党共闘という新しい方針に踏み出したことは、党と国民との関係を大きく変え、党に対する新たな注目、期待、支持が広がっています。また、参議院選挙を、市民運動の方々と、ともにたたかうなかで、新しい連帯と信頼の絆が広がっています。若い世代のなかでも、労働組合運動のナショナルセンターの違いを超えて職場においても、党勢拡大の新しい条件が広がっています。

 いま目の前に大きく広がる党勢拡大の新たな条件と可能性を、あまさずくみつくし、「党勢拡大大運動」を必ず成功させようではありませんか。

「大運動」をどう推進するか―創意と自発性を発揮し、知恵と経験を交流して

 「大運動」をどう推進するか。次の諸点に留意しつつ、みんなが創意と自発性を発揮し、全国の知恵と経験を交流しながら、この運動を成功させたいと思います。

「支部が主役」で全支部・全党員の運動にしていくという基本に徹して 

 まず強調したいのは、「支部が主役」で全支部・全党員の運動にしていくという基本に徹して、奮闘することであります。

 すべての党支部・グループが、なぜいま「大運動」なのか、三つの政治的意義を討議し、「大運動」の目標と計画を決め、秋のたたかいと要求実現などもふくむ「政策と計画」を補強・充実し、「私たちの支部の大運動」として、自覚的にたちあがりましょう。

 取り組みの基本は、支部と党員が築いてきた結びつきに光をあて、「結びつき・対象者名簿」をもち、日常的に結びつき・働きかけを強めながら、党勢拡大の独自の努力を思い切って強めることにあります。

若い世代のなかに党をつくろう――「三つの柱」での取り組みを呼びかける

 全党の力で、若い世代のなかに党をつくりましょう。すすんだ党組織の努力に学び、「三つの柱」での取り組みを呼びかけます。

 第一の柱は、「どの支部にでもできる世代的継承」を推進することであります。参院選を通じ、多くの支部が若い世代に働きかけました。多くの党員が、若い世代と何らかの結びつきをもっています。気軽に結びつきを出し合い名簿にしましょう。「しんぶん赤旗」の活用、「集い」へのお誘い、後援会ニュースの発行など、多様な形で働きかけましょう。

 第二の柱は、民青同盟への親身な援助を強め、同盟員を増やし、民青班をつくることであります。すべての都道府県、地区委員会が、支部と協力して、高校・大学、職場や地域に、民青同盟を建設する計画をつくり、民青同盟との共同の事業として進めましょう。学習を中心に、民青同盟への援助を強め、同盟員の成長のために力をつくしましょう。民青の役割や、県、地区、班の実情をつかみ、同盟員の願い、悩みを聞くことは、この取り組みの出発点であるということを、強調したいと思います。

 第三の柱は、学生への働きかけであります。参院選を契機に大学門前宣伝に系統的に取り組む党組織が増えています。都道府県、地区委員会が、支部と協力して、学園に党支部をつくる目標と計画をもちましょう。たたかいと一体に、国会議員団・地方議員団の力をかりて「集い」を開くなど、全党のあらゆる力、結びつきを生かして学生党員を迎えましょう。

「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を、日本列島の津々浦々で開こう

 「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を、「大運動」を成功させる“推進軸”として、日本列島の津々浦々で開くことを呼びかけます。

 参議院選挙のたたかいは、日本共産党の綱領が、現実政治の熱い焦点となっており、まさに“旬”となっていることを示しました。日本共産党への理解を広げ、さまざまな誤解をとき、攻撃を打ち破るためには、綱領を語る平素からの努力が必要であります。

 すべての支部・グループが、「記念講演」のダイジェストDVD(35分)を活用して、気軽に「集い」を開き、これを“推進軸”として、「大運動」成功のうねりを起こしましょう。都道府県、地区、自治体・行政区段階での「集い」、職場・学園での「集い」、若い世代や子育て世代など分野別の「集い」も積極的に開きましょう。

 日本共産党綱領そのものを、多くの人に手にとって読んでもらうため、新たに作成した「JCPマニフェスト 日本共産党綱領」を大いに活用しましょう。

国政選挙を一回たたかう以上の構えで、ただちに特別の臨戦態勢を

 最後に強調したいのは、「大運動」を必ず成功させるために、都道府県委員会、地区委員会、補助指導機関、党議員団が、国政選挙を一回たたかう以上の構えで、特別の臨戦態勢をただちに確立することであります。すべての支部と党員に対して親身な指導・援助の手が届くように、また、日々到達点を掌握して、党勢拡大の具体的な手だてがとれるように、非常勤役員を結集するとともに、臨時の態勢をつくることを呼びかけます。

 「党勢拡大大運動」を必ず成功させ、第27回党大会を党史に新たなページを刻む歴史的大会として大成功させようではありませんか。

6、東京都議会議員選挙勝利のための活動にただちに取り組む

 報告の最後に、都議会議員選挙についてのべます。

 来年6月に行われる東京都議会議員選挙は、期日の決まった全国的意義をもつ政治戦としては、最も早く行われるたたかいとなります。

 それは、東京都の未来、都民の暮らしに大きな影響をあたえるだけでなく、国政の動向を大きく左右する政治戦となります。

 前回、2013年の都議選で、日本共産党が8議席から17議席に躍進したことは、その直後の参院選での躍進の引き金となり、“第3の躍進”をつくりだす決定的な契機となりました。来年6月のたたかいで、前回議席を絶対確保し、新たな議席をかちとることは、その後の国政選挙での躍進をかちとるうえでも重要な意義をもつものです。

 都議会議員選挙の勝利のための活動にただちに取り組みます。

 築地市場の豊洲移転問題などで日本共産党都議団の果たしている役割は目覚ましいものがありますが、小池新都政のもとで、都政をリードし、共産党都議団の値打ちを光らせるたたかいと努力が、きわめて重要であります。

 東京都党組織の奮闘と一体に、「全国は一つ」の立場で、全国からの支援を集中することを心から呼びかけるものです。

 中央役員のみなさんの積極的な討論を期待して、幹部会報告を終わります。


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