2016年9月22日(木)
臨時国会 安倍暴走政治と対決 党国会議員に聞く
リニア新幹線 公的資金投入やめよ
本村伸子衆院議員
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―26日召集の臨時国会で審議される今年度の第2次補正予算案には、東京・品川〜名古屋間でリニア中央新幹線の建設を進めているJR東海への巨額の公的資金の投入が盛り込まれています。
非常に問題があると思っています。安倍政権はこの間、2045年とされてきたリニア新幹線の大阪までの全線開業を前倒しするための支援策を打ち出してきました。具体的には、財政投融資の仕組みを使って、今年度1・5兆円、来年度1・5兆円と計3兆円も国が財投債を発行して調達した資金をJR東海に低利で貸し付ける方針です。
しかし、リニア計画はJR東海の全額自己負担を前提に国が認可したもので、マスメディアからも、国による資金支援は「明らかな約束違反だ」(「毎日」7月25日付)と厳しい声が上がっています。
「悪夢の超特急」
私は、初質問のときからリニアの問題点を取り上げてきましたが、そもそも、この事業は南アルプスをトンネルでぶち抜くなど将来に多くの禍根を残す巨大開発です。安倍首相のいう「夢の超特急」どころか、「悪夢の超特急」だと言われている、建設そのものに問題が山積している事業です。
―具体的にはどんな問題がありますか。
「悪夢」の実例として山梨実験線(総延長42・8キロ)の被害があります。水枯れ、異常出水、騒音、振動、日照、健康などの被害が現に起きており、住民から「わしらは実験台にされている」「同じ思いをしてほしくない」との声が上がっています。
水枯れの問題では、今後南アルプスでのトンネル工事を進めると、静岡県を流れる大井川の水が毎秒2トン減るとJR東海が認め、対策として新たな導水路を造るとしていますが、それ自体が環境破壊です。地上を走る所でも、机上の線引きで、住宅だけでなく公共施設や墓地まで移転を迫られています。ルートや防音対策の変更要望にも聞く耳を持たない、残土の置き場も多くが決まっていない、住民にまともに情報を出そうとしないなどJR東海の傲慢(ごうまん)な姿勢も問題になっています。
赤字確実な事業
日本有数の活断層地帯を通る安全性の問題、新幹線より電力を3・5倍も使う“燃費”の悪さなど問題は尽きません。リニアは、JR東海の山田佳臣社長(現会長)が13年9月に「絶対にペイしない」と言っているように、単体では採算がとれない事業です。事業費も9兆円では済まない可能性があります。3兆円は30年後から10年間で返済する計画ですが、その際のJR東海の経営の見通しや返済能力の検証、説明はされていません。
生活や環境を壊し、住民の声も聞かず、赤字確実なリニア事業に公的資金を入れるべきではありません。JR東海の自己負担という大前提も崩れた以上、工事実施計画の認可を取り消すべきだと迫っていきたいと思います。
―具体的な論戦の場はどうなりますか。
予算委員会では補正予算案が、国土交通委員会では関連法案が審議されます。リニア問題に対する各党の態度が問われる初めての本格論戦の機会として、集中審議やJR東海や沿線の住民らを呼んでの参考人質疑なども含め、徹底審議を求めていきたいと思います。
聞き手 藤原 直
写真 小酒井 自由