2016年9月22日(木)
主張
日銀金融政策検証
破綻した政策 固執し続けるな
異常な金融緩和や「マイナス金利」の導入で「デフレ」からの脱却を図るとしてきた日本銀行が、効果が見えないため、金融政策を検証する会合を開きました。しかし結論は、若干の手直しだけで金融緩和を続けることです。異常な政策が破綻しているのは明らかです。日銀が政策を転換しないのは、金融緩和が安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の柱になっていて動きが取れないからです。政権発足から3年9カ月たっても「道半ば」を繰り返すしかない「アベノミクス」の破綻も明らかです。破綻した政策に固執するのはそれこそ国民にとって有害です。
もともと実現困難な目標
日本銀行が2012年12月の安倍政権の発足後、13年3月に黒田東彦(はるひこ)氏を総裁に据えて始めた「異次元」の金融緩和は、日銀が銀行などに貸し出す金利を低く抑えるとともに、銀行が持っている国債などを大量に買い上げ、市中に出回るお金の量を増やすという、量・質両面からの緩和策です。出回る通貨の量を増やせば、物価が上がり、消費や投資も活発になるという筋書きで、年間の消費者物価上昇率を2年間で2%にするという目標を掲げました。
しかし、経済活動が活発でないときに、いくら通貨の量を増やしても、お金はため込みや投機に回るだけです。実際、日銀の金融緩和後も、為替市場や株式市場での投機が進み、一部の大企業と大資産家がもうけをため込んだだけで、消費や投資は活発になりません。達成期限を繰り返し延期しても、2%を目標にした消費者物価の上昇は見られず、国際的な石油価格下落などで下がり続けています。
日銀は金融緩和の効果が出てこないというので、日銀が買い上げる国債などの対象を広げたり、市中の銀行が日銀に預けている当座預金に利子を払うどころか逆に利子を取って銀行に預金を減らすよう仕向ける「マイナス金利」を採用したりして、何とか効果を上げようとしてきました。しかし、破綻した政策にどんなに異常な政策を積み重ねても効果は出ず、金融機関の経営に悪影響を及ぼすなど弊害が目立つありさまです。
そこで慌てて行ったのが金融政策の「総括的な検証」ですが、結論は金融緩和の抜本的な見直しには程遠く、消費者物価の2%上昇を実現する期限を事実上放棄したぐらいです。金融緩和の強化と称した長期金利重視の対策も、日銀が買い上げる国債の年限基準を撤廃したなどで、「マイナス金利」の「深掘り」と称した「マイナス」の利幅拡大は見送りました。政策を転換するどころか部分的な追加対策だけで効果が期待できるはずはなく、日銀が発表した途端、国債や円・株が激しい値動きとなりました。
「アベノミクス」の転換を
今求められるのは、日銀の異常な金融政策だけでなく、安倍政権の「アベノミクス」そのものを中止し、根本的に転換することです。日銀が国債を大量に買い上げているため、安倍政権が発行する大量の国債が事実上日銀で賄われています。異常な金融緩和と「アベノミクス」の継続は金融と経済、財政のゆがみを拡大するだけです。
安倍政権に経済をかじ取りする能力がないのは明白です。異常な金融緩和と「アベノミクス」を中止し、暮らしを応援して経済を立て直す政策に転換すべきです。