2016年9月21日(水)
主張
教育への公的支出
国際水準にしてこそ現状打開
経済協力開発機構(OECD)の加盟国への調査で、国内総生産(GDP)に占める学校など教育機関に対する国や地方自治体からの公的支出の割合が、日本は比較できる33カ国中、32位となりました。7年連続最下位という事態は免れたとはいえ、最低水準であることは変わりません。日本の教育への公的支出の少なさは、世界でも異常な高学費と劣悪な教育・研究条件の根源となっており、教育予算の抜本的増額が求められています。
高学費と劣悪な教育条件
OECDが先週発表した2013年の教育機関への公的支出は、日本はGDP比で3・2%にとどまりました。最下位のハンガリーは3・1%で、ほとんど差がありません。1位のノルウェーは6・2%、2位のデンマークは6・1%で日本の倍、OECD平均は4・5%で、日本は1・3ポイントも低くなっています。
大学などの高等教育機関への支出でみても、日本は公費の占める割合が35%で、下から2番目です。このため日本の大学の授業料は国立で年間約53万円、私立では平均約86万円に上っています。
OECD加盟国の半数が大学の学費は無償で、ほとんどの国が返済しなくていい給付奨学金制度を設けているのと大きく隔たっています。
日本では学生の半数以上が「借金」である貸与制の奨学金を借り、卒業時には数百万円もの借金を背負って社会に出ていかなければなりません。多くの学生がアルバイトのため学ぶ時間を奪われ、違法・無法な働き方を強いる「ブラックバイト」の被害も絶えません。国際的にみて経済力があるのに、こんなにも学生が追い込まれているのは異常です。
安倍晋三政権は世論と運動におされ、「給付型奨学金」の検討を始めましたが、対象になる学生を「低所得世帯」とし、高校での「成績」などで厳しく限定しようとしています。大学入学の時点では「返還」しなければならないか「給付」(返還免除)になるかが確定しないやり方にすることも検討されています。これではお金の心配なく学ぶことはとても困難です。
教育条件も日本は経済力からみて非常に劣悪です。
欧米では小中学校は1クラス20〜30人なのに、日本では35人学級すらいまだに完全実施していません。35人学級は関係者の一致した要求で、民主党政権時代に国会の全会一致で順次実施することが決められました。安倍政権はこれに背を向け、文部科学省は35人学級推進の予算を17年度の概算要求に盛り込むことさえ3年連続でやめてしまいました。ゆきとどいた教育を願う国民の声に真っ向から反しています。
OECDの平均並みに
税金の使い方を変え、文教予算を計画的に引き上げて教育機関への公的支出をOECD平均並みにすれば、私的負担を大幅に減らし、教育条件を大きく改善できます。日本共産党は(1)大学の授業料を国公立も私立も10年間で半減(2)月3万円の給付奨学金を70万人(学生の4人に1人)に支給―を提案し、小中学校の35人学級はわずかな予算で完全実施できることを示して、実現を求めています。
国民の共同の運動で教育予算を国際水準並みにし、世界的にも異常な現状を変えていきましょう。