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2016年9月19日(月)

後期医療 保険料暴騰の危険

来春から特例軽減廃止

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グラフ:後期高齢者の保険料特例軽減の廃止916万人

 安倍政権は2017年4月から、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、低所得者の保険料を最大9割軽減している特例措置(特例軽減)を段階的に廃止しようとしています。75歳以上の6割近い916万人が対象で、保険料は2〜10倍に跳ね上がります。低所得者を狙い撃ちにした大負担増です。

 後期高齢者医療制度は、同制度の導入を担当した厚労省課長補佐(当時)が「医療費が際限なく上がっていく痛みを高齢者に直接感じてもらう」と放言したように、高齢者を囲い込んで負担増と差別医療を押し付ける制度です。「まるでうば捨て山だ」と怒りの世論が広がるなか、導入時(08年4月)に設けざるをえなかったのが保険料の「特例軽減」であり、最大7割の軽減措置をさらに最大9割まで軽減しています。

10倍になる人も

 安倍政権はこの特例軽減を「現役世代との負担の公平化」の名で廃止し、「急激な負担増となる者には激変緩和措置を講ずる」としています。

 特例軽減が廃止されれば、年金が月6・6万円以上14万円以下の人(夫婦2人世帯の夫)は、保険料の軽減がこれまでの8・5割から7割に下がり、保険料は2倍になります。月6・6万円以下の人(同)は9割から7割軽減になり、保険料は3倍に増えます。

 後期高齢者になるまで健康保険や共済の扶養家族だった場合、軽減が9割から5割になる人の保険料は5倍化。3年目から全額負担になって、保険料が10倍以上に跳ね上がる人まで出てきます。

 特例軽減に充てられている国費は年945億円です。政府は17年度予算で、社会保障費の自然増を5千億円に抑え込むため、特例廃止を標的にしています。

医療にかかれず

 すでに保険料は4回も値上げされ、16年度の月平均保険料は5659円です。低年金に加え、消費税増税やアベノミクス下の物価上昇も生活を圧迫。保険料を払えない高齢者は約24万人(15年度)と高止まりしています。

 滞納を理由に保険証が取りあげられ、有効期間が短い短期証になった人は約2万5千人(同)と増加傾向です。継続的に医療にかかれなくなる事態が広がっています。

 特例軽減の段階的廃止の方針に対し、長野、愛知、宮城各県の後期高齢者医療広域連合議会では、特例軽減の継続を求める意見書を可決。「安心して医療を受けるため、恒久的な制度とする」(愛知県)ように政府に求めています。

 日本共産党は、特例軽減の廃止に反対し、後期高齢者医療制度は廃止して老人保健制度に戻し、保険料・窓口負担の軽減や差別医療をなくすことを主張しています。


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