「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年9月18日(日)

主張

沖縄・高裁不当判決

県民の怒りと結束さらに強く

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題で、翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しの撤回に従わないのは違法だとして国が訴えた「違法確認訴訟」で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は、国側の主張を全面的に追認する極めて不当な判決を下しました。判決自身が裁判所は中立・公平であるべきだとしながら「政府の追認機関」に成り下がり、「沖縄県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも国に偏った判断」(翁長氏)を行い、司法の責務を自ら否定したものとして到底許すことはできません。

安倍政権の主張そのまま

 今回の不当判決の最大の特徴は、「埋め立ての必要性の中で軍事的な面について踏み込んだ判断を行い、他方では自然環境面については一切考慮しない」(翁長氏)内容だということです。

 判決は、普天間基地の被害は基地の閉鎖という方法で改善される必要があるとしつつ、▽在沖縄海兵隊全てを県外に移転することができないという国の判断は尊重すべきだ▽そうすると県内に普天間基地の代替基地が必要▽辺野古の他に県内の移転先は見当たらない▽よって普天間基地の被害を除去するには辺野古新基地を建設する以外にない―としています。

 沖縄県側の反論で既に破綻済みの「沖縄の地理的優位性」や「海兵隊の一体的運用」論に固執して「辺野古が唯一の解決策」とする安倍政権の主張そのままです。

 県側が「地理的優位性」を否定する根拠に中国のミサイルの射程内にある沖縄への米軍基地集中はリスク(危険)が高いとの専門家の指摘を挙げると、判決は北朝鮮の「ノドン」ミサイルは射程外だという全く反論にならない主張までするありさまです。安倍政権への擁護ぶりが際立っています。

 しかも、判決は、辺野古新基地の建設を中止するには普天間基地の被害を継続するしかないとまで述べています。安倍政権が沖縄県民に新基地を受け入れさせるために使ってきたどう喝まで同じという異常さです。翁長氏が「あ然としている」「驚きを禁じ得ない」と述べたのはあまりにも当然です。

 辺野古新基地は、海兵隊の海外侵攻のため、垂直離着陸機オスプレイが配備され、強襲揚陸艦が接岸できる港湾機能なども新たに備えた巨大出撃拠点として計画されています。老朽化して使い勝手の悪い普天間基地の単なる「移設」という生易しい代物ではありません。オスプレイ・パッド(着陸帯)の建設が強行されている北部訓練場(東村、国頭村)などとも一体的に運用され、訓練の激化など被害も拡大しかねません。判決が「県全体としては基地負担が軽減される」などと主張することは、沖縄の基地の現実を全く分かっていないと言わざるを得ません。

自然環境の破壊考慮せず

 判決が、埋め立てに10トントラック約340万台分の土砂を使い、希少生物が多様に生息する貴重な自然環境を破壊することを何ら考慮していないことも重大です。

 翁長知事は、今回の判決によって沖縄県民の反発と結束はより強くなると述べ、「辺野古新基地は絶対に造らせない」と強調しました。辺野古新基地ノー、普天間基地閉鎖・撤去を求める世論と運動をさらに大きく広げる時です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって