2016年9月16日(金)
熊本地震5カ月 今も400人超避難
「先の暮らしが見えない」
震度7が2回観測され、関連死などと合わせて98人が犠牲になった熊本地震の発生から5カ月が過ぎました。熊本県は15日午後1時半の時点で、計466人が体育館など県内13カ所の避難所で過ごしていると発表。応急仮設住宅への入居が進み「ようやく」と安どの声も上がりますが「その先はまだ見えない」という被災者も多く、長期的な生活再建が依然として課題です。(安川崇)
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仮設入居進むが
県によるとピーク時の避難所数は855。避難者数は18万人を超えていました。同日現在で217人と最も多くの避難者が暮らす同県益城町の総合体育館。12日には町が第4次の仮設住宅の募集結果を発表し、玄関前に張り出された内容に避難者が見入りました。
「自宅」風呂に
この発表で仮設への入居が決まった運転手の男性(59)は本震以来、避難所や知人宅などを行き来しながら避難生活を続けてきました。
「1次から3次の募集はすべて抽選で外れた。ようやく何カ月ぶりかで『自宅』の風呂にゆっくりつかれるようになる。その時は涙が出るかもしれません」
町によると、第4次では237世帯589人の入居が決まりました。これで町内の仮設住宅は計1556戸に。「仮設入居の該当者はほぼカバーできた」(町復興課)として募集を打ち切ります。
このうち、総合体育館からは約60世帯120人の入居が決定。避難者の半数以上にあたりますが、一部住宅の完成が遅れており、実際の入居は10月になります。
体育館にはなお、行き先の決まらない人が残ります。自宅の被害の判定が「半壊」より軽い「一部損壊」で仮設入居の対象外とされた人や、自宅の応急修理を待つ人などがいるとみられます。
借金どう返す
町避難所対策チームは避難所の閉鎖に向けて「個別ケースの相談に乗りながら進める」としていますが、時期については「未定だが10月末を目安とする」としています。
仮設に入居した人にも、本格的な生活再建という課題が残ります。前出の男性は「自宅を再建したいが体を壊して休職中。何年後かの自分の暮らしが見えない」とこぼします。
精神障害のある長男と避難している女性(81)は今月末にも自宅に戻ります。「戻れるのは本当にうれしい。でも自宅建物の解体と改修で借金をした。どうして返そうか」と表情を曇らせます。