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2016年9月16日(金)

主張

もんじゅ廃炉検討

核燃サイクルを断念すべきだ

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 安倍晋三政権が、1994年に完成したものの事故やトラブルが続き、まともに運転されたことがない高速増殖炉の「もんじゅ」について、廃止を含めた検討に入ったといわれます。「もんじゅ」は原発の使用済み核燃料を再処理して取り出すプルトニウムを燃料にするもので、政府や電力業界は再処理施設や高速増殖炉の開発で「核燃料サイクル」を完成させるとしてきました。「もんじゅ」の破綻はそうした思惑がつぶれたことを示しています。「もんじゅ」の廃炉はもちろん、「核燃料サイクル」の計画からも撤退すべきです。

停止してても動かしても

 高速増殖炉「もんじゅ」は、歴代政府が巨額の費用をかけて福井県敦賀市に建設を進めたもので、完成して核反応が連続して起きる臨界に達した直後、冷却材に使われるナトリウムが漏れだす大事故を起こし、停止しました。その後も運転を再開しようとした際、重さ3・3トンもの機器が原子炉の中に落下、長期間の停止中に老朽化した部品の点検漏れなども発覚して、ほとんど運転できないまま現在に至っています。

 普通の原発がウランを燃料にし、水で冷却するのに対し、高速増殖炉が燃料にするプルトニウムは原爆の材料にもなる猛毒の物質で、冷却材のナトリウムも水に触れれば大爆発します。取り扱いの難しい高速増殖炉の開発が難航するのは目に見えていたことで、これまで開発に取り組んだ各国でもほとんどが失敗しています。「もんじゅ」の開発にこれまでつぎ込まれた資金は1兆円を超すといわれ、停止していても保守管理のため毎年約200億円かかります。

 原子力規制委員会は昨年、「もんじゅ」を所管する文部科学省に、現在の原子力研究開発機構に代わる新しい運営主体を見つけるよう指示しましたが、いまだに見つけられずにいます。運営主体も見つからない「もんじゅ」を存続させる理由はなく、万一再稼働させるにしてもさらに数千億円かかるといわれることからも、廃止の動きが浮上するのは当然です。

 ウランを原発で燃やし、使用済み核燃料を再処理して取り出すプルトニウムを高速増殖炉で燃やして、さらにその使用済み核燃料を再処理すれば燃やした以上のプルトニウムが取り出せるというのが「核燃料サイクル」の筋書きです。「もんじゅ」の計画が破綻したうえ、青森県六ケ所村で進めている再処理施設の建設も全くめどが立たなくなっています。ウランとプルトニウムを混ぜて燃やす「プルサーマル」発電も原発の停止が続き、思い通り進んでいません。「もんじゅ」はもちろん「核燃料サイクル」についての抜本的な検討が必要なのは明らかです。

原発依存からの脱却こそ

 「核燃料サイクル」の確立が難航する中、政府はイギリスなどに委託して再処理を進めてきました。その結果、使う当てのないプルトニウムがたまる一方で、原爆拡散の危険を広げていると、国際的にも批判を浴びています。日本はすでに48トン近くのプルトニウムを保有しており、これ以上「核燃料サイクル」に固執し、プルトニウムをため込むのは危険です。

 高速増殖炉はもちろん「プルサーマル」も含め「核燃料サイクル」からきっぱり撤退し、「原発ゼロ」にこそ進むべきです。


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