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2016年9月15日(木)

熊本地震5カ月

屋根にも畳にもシート

支援なく修理にためらい

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 震度7の2度にわたる激震が大きな被害をもたらした熊本地震発生(前震)から14日で5カ月がたちました。復旧・復興に向けた取り組みが進む一方、安心できる住まいの再建には多くの課題が残ったままです。

 (岡素晴)


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(写真)地震5カ月後も屋根の修理が間に合わず、ブルーシートのかかった家屋が目立つ住宅街=12日、熊本市東区

 県によると、人的被害は地震の直接死が50人。震災関連死43人や地震で緩んだ地盤を襲った6月の豪雨に伴う土砂災害の犠牲者5人を合わせて98人(13日現在)となっています。

「一部損壊」12万件

 家屋被害では、罹災(りさい)証明書の交付数が18万4588件。そのうち最も多いのが、約11万6千件の「一部損壊」と判定された世帯です。全体の6割超を占めますが、何の支援も受けられていないのが現状です。

 熊本市や益城(ましき)町をはじめ被害の大きかった市町村の住宅街では、瓦が落ちるなど損壊した屋根にブルーシートのかけられた家々が、今もなお、至る所に目立っています。中には風雨にさらされた数カ月間で破れてしまったシートも。屋根の修復が遅れている要因は、需要の急増で業者待ちが続いている状況に加え、屋根の破損は多くが一部損壊と判定されて何の支援もないために、被害によっては数百万円もかかってしまい、修理費の捻出できない被災者が多数、存在しているからです。

台風・雨漏り 不安

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(写真)雨漏りの応急措置として畳の上に敷かれたブルーシート=9日、熊本市中央区

 熊本市中央区に住む1人暮らしの94歳の女性は自宅の屋根が破損し、2階の部屋に雨漏りが発生したため、ブルーシートで屋根を覆うだけでなく部屋の中の畳にもシートを広げる応急措置でしのいでいます。シートの下の畳には雨水のしみ込んだ痕が残っていました。家全体も、瓦が吹き飛ばないよう何本ものロープで固定していますが、「台風が来て、また雨漏りしないか不安」と話します。

 女性は罹災証明書の交付を申請しましたが、結果は一部損壊。何の支援もないのに、多額の費用をかけて屋根の修理をすることにためらいがあるといいます。「私もいい年だし、年金暮らしで食べていくのがやっとだから。シートの強いのがあると聞いたので、それに変えるだけにしようと思うとります」

 「中型トラックいっぱいになるほど瓦が落ちた」という女性(86)=同市東区=は、一部損壊判定に不服を申し立てたものの、2次調査でも覆りませんでした。業者に修理を申し込んで順番待ちですが「一部損壊と言うけれど、修理に何百万円もかかるという話。少しでも支援が受けられるといいのに」と嘆きました。

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(写真)仮設住宅団地を訪ね、1万人アンケートで入居者の女性から要望などを聞きとる甲斐康之前町議(右)ら=11日、熊本県益城町

 益城町の女性(72)宅も、業者に見てもらったところ、地震後13センチほど沈下。玄関の床にビー玉を置くと奥に向かって転がりだすなど家の傾きも見られるものの、1次、2次ともに一部損壊でした。

 3回目の調査結果が出るのを待つ身ですが、自宅裏のコンクリート塀が地域の水路に倒れ込んでおり、その復旧も難題です。「傾いた家を基礎から持ち上げ、直そうとすれば400万〜500万円はかかると言われた。一緒に住む孫2人のためにも早く修理したいのですが、判定が何とかならないことには。気がかりで夜も眠れません」

 こうした中、日本共産党は首長らとの懇談や地方議会で、自治体独自に一部損壊への支援を行うことや、生活再建支援金の支給対象を半壊や一部損壊にまで拡大するよう国に働きかけることを繰り返し求めてきました。

 熊本市の大西一史市長は1日、党の議会質問に「一部損壊も含めた被災者を対象に、復旧状況、再建を行う上での課題、求められる支援等を把握するためにアンケート調査を予定しており、その結果を踏まえ、より効果的な支援に取り組んでいきたい」と回答。一部損壊世帯の切実な声を吸い上げ、行政に届ける党の要求運動が自治体を動かし始めています。

 党県委員会の地震対策本部は、8月末から被災各市町村で地元の党組織を中心に、被災者の現状や要求を聞き取ろうと1万人アンケートに取り組んでいます。九州各県の党や民主団体から支援も受けながら、要求運動をさらに充実させようと奮闘しています。


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