2016年9月10日(土)
主張
北朝鮮核実験強行
制裁の厳格実施と対話再開を
北朝鮮は、同国の建国記念日の9日、5回目となる核実験を強行しました。核兵器禁止条約の交渉を来年中に開始するよう勧告した国連特別作業部会の報告など核兵器廃絶に向けた国際社会の新たな前進に対し、真っ向から挑戦するような暴挙に、断固抗議します。
北朝鮮は1月にも核実験を強行したばかりです。国際社会には、北朝鮮に核兵器の放棄を迫る一致した対応がいよいよ求められます。
東アジアの平和への脅威
北朝鮮は自らの核兵器開発を、「自衛のための核抑止力」と正当化を図ってきました。今回は「核弾頭の威力を評価する実験」などとしています。しかし、核武装を強める道は、「軍事対軍事」の危険なエスカレートにつながり、北朝鮮の安全にとっても悪影響を与えるものです。経済・貿易関係の強い隣国の中国を含め、国際的な批判や警戒を高め、北朝鮮の孤立をもたらしているだけであり、この道に未来はありません。
国連安保理が1月の核実験を受け3月に採択した決議2270は、北朝鮮金融機関の外国支店や口座の新たな開設の禁止、人道面で悪影響を与えない条件での航空燃料の北朝鮮への輸出禁止や北朝鮮からの石炭や鉄鉱石など鉱物の輸入制限を各国に義務付けました。そうした核兵器・ミサイル開発にかかわるヒト、モノ、カネの国際的な流れを断つため、北朝鮮を出入りするすべての貨物の検査も盛り込んでいます。
国連のホームページによると、制裁の履行に関する報告書を制裁委員会に提出したのは五つの安保理常任理事国を含む47にとどまっています。北朝鮮による今月5日のミサイル発射を非難した安保理の報道声明は、すべての国連加盟国に対し、制裁措置を「十分に実施するため努力を倍加する」「実施した具体的な措置を速やかに報告する」よう求め、制裁委員会に対しても、「実施を強化するため活動を強める」よう指示しました。この呼びかけにこたえた各国の行動が不可欠です。
3月の安保理決議は、北朝鮮の核兵器開発の放棄をめざす6カ国協議の再開も呼びかけました。しかしこの半年、協議がないまま、北朝鮮の核実験、ミサイル発射が繰り返されています。そうした事態を転換させるため、北朝鮮を6カ国協議のテーブルに戻す政治的・外交的努力の抜本的な強化が急務となっています。
2005年9月の6カ国協議の共同声明は、北朝鮮の非核化、同国と米、日との国交正常化、北東アジアの平和・安全保障体制づくりなど、北朝鮮自身も合意した包括的な問題解決へのロードマップです。北朝鮮が6カ国協議の枠組みに復帰し、合意を誠実に履行することは、アジアの平和と安定に寄与するだけでなく、北朝鮮自身の安全と利益にもかないます。この共同声明について北朝鮮はこれまで、ののしることはあっても破棄はしていません。さまざまな口実で米国に協議を呼びかけており、対話も否定していません。
核武装強化の道許されぬ
協議再開の条件について北朝鮮と米日韓の立場はへだたっていますが、困難はあっても平和的外交的解決の道を探ることが求められます。北朝鮮はこれ以上、核兵器とミサイルをもてあそぶのは、やめるべきです。