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2016年9月8日(木)

主張

待機児2年連続増

痛切な声に応え抜本対策急げ

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 今年4月に認可保育所などを希望したのに入れなかった子どもの人数が2万3553人にのぼり、2年連続で増加したことが分かりました。少なくとも6万7354人が、認可園以外に預けるなどの「隠れ待機児」であることも公表されました。合計約9万人にのぼる深刻な事態です。今春、「保育園落ちた!」と怒りをつづったブログを契機に待機児問題が政治の場で大議論になったというのに、安倍晋三政権の掲げる対策に抜本的な打開方向は見えません。安心して子どもを預け働きたいという当たり前の願いを実現するため、政治の転換が重要になっています。

「保活」で駆け回っても

 厚生労働省が2日発表した今春の待機児童数の連続増加は、親が子どもの預け先を探し駆け回る「保活」に必死になっても、認可保育所や認定こども園に入るのは極めて困難な実態を示しています。

 厚労省は今回初めて自治体ごとの「隠れ待機児」数を公表しました。「隠れ」とは、子どもが認可保育所に入れなかったため、育児休暇を延長したり、自治体が独自基準で設けた保育施設に預けたりしたケースなどです。希望する保育所に入れなかった点では待機児と同じ状況なのに、厚労省は十数年にわたり、待機児集計から除外してきたため、“待機児を実態より少なく見せている”と国民から批判が上がっていたものです。

 今回の発表では、横浜市は待機児7人でしたが「隠れ待機児」は3110人と全国最多でした。川崎市も待機児6人でしたが、「隠れ」は2547人で全国2番目の多さでした。政府・自治体の保育条件の整備や待機児対策の内容やスピードなどが、切実な要求に見合っていないことは明らかです。今回集計された「隠れ待機児」のほかにも、保育所に子どもを預けたい人たちの潜在的なニーズが広範に存在することも指摘されています。政府は、これらの事実を正面から受け止め、抜本的な打開策を講じることが不可欠です。

 急がれるのは、保育士数や施設の基準を国が定め、保育料も相対的に低い認可保育所の大幅な増設です。日本共産党は、30万人分の認可保育所を緊急に増設することを提案しています。国や自治体が率先して公立保育所をつくることや国有地の無償提供など、知恵と力を尽くして認可保育所の増設を大原則にして待機児の解消にあたることがなにより必要です。

 安倍政権は、認可保育所の拡充には背を向け、有資格の保育士が少なくてもすむ企業主導型保育などの推進に力を入れています。保育基準を緩和し、子どもたちを施設に“詰め込む”方針も加速しています。保育の質を低下させ、子どもの健全な発達と成長を脅かすことは、親の願いに反します。子どもの命を危険にさらす「規制緩和」などは許されません。

公的責任を果たしてこそ

 保育への公的責任を後退させる「子ども子育て新制度」がスタートして2年続けて待機児が増加したことは、制度が抱える矛盾と欠陥を浮き彫りにしています。安倍政権が掲げた17年度中の「待機児ゼロ」の行き詰まりは明らかです。

 認可保育所の緊急増設、大幅な処遇改善を通じた保育士不足の解消に向け、国や自治体が保育にたいする公的責任を果たしていける政治にすることが急務です。


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