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2016年9月8日(木)

政治考 野党共闘 参院選後も焦点

与党危機感“次も大変だ”

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 日本共産党、民進党などの野党と市民が共闘した7月の参院選からまもなく2カ月。現在行われている民進党代表選で候補者が「綱領や政策が異なる政党と政権を目指すことはない」(蓮舫代表代行)などと発言しているのを受け、一部メディアはもっぱら「民共共闘 隔たり鮮明」(「読売」3日付)と今後の野党共闘を否定的に報じています。ところが、野党共闘は、選挙後ますます政治の焦点になっています。


“結果が出ている”

写真

(写真)選挙後も続く野党共闘。写真は市民と共産、民進、社民などの野党が「安保法廃止」「野党は共闘、市民が共闘」と声を上げた街頭宣伝(8月21日、東京都多摩市)

 「われわれが批判をして『(民進党と共産党の)主義が違い、政策が違うのにけしからん』とか言っても、参議院(選挙)で現に結果が出ている」。参院選での野党共闘の効果をこう認めたのは、自民党最大派閥・細田派会長の細田博之総務会長です。4日、長野県軽井沢町で開いた派閥研修会のあいさつで、民進党が今後も共産党との選挙協力を続けるだろうと予想したうえで、「漫然とたたかったら大変なことになる」と危機感をあらわにしたのです。選挙後、野党共闘を強く意識していたのは、公明党とともに3分の2の議席を占めた自民党でした。

 細田氏は、埼玉県内で開いた党衆院議員の国政報告会でも「定員1の県で(共産党の)候補が降りてしまった。民進党と協力するという選挙を始めたんですね。その結果、わが党は大変な苦戦を強いられ、11県で負けた。次の選挙は大変だとわかった」(「朝日」デジタル3日付)と述べ、野党共闘に対抗するために衆院小選挙区で得票率5割以上を目指すよう檄(げき)を飛ばしました。

 こうした危機感は政権与党内の共通した見方のようです。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏はネット動画「日本の話題」の中で、自民党の選挙責任者が「もし衆院選でも野党統一候補が実現した場合、参院選の結果を当てはめてみると86人が落選する」と分析し、「政権与党が一番警戒しているのは実は共産党の動きだ」として、野党共闘を積極的に進めている共産党を意識していることを紹介しています。

“厳しい戦い”

 野党統一候補の芝博一参院議員(民進党)が自民党に競り勝った1人区の三重選挙区では、自民党県連幹部が「再び野党共闘をやられれば打つ手がない。次も厳しい戦いを強いられる」(「朝日」三重県版8月12日付)と語る情勢。民進党代表選をテーマにとりあげた日刊スポーツ2日付のコラム「政界地獄耳」も「野党統一候補など野党共闘を最も恐れているのは自民党だ」と指摘しています。

 野党共闘などについて論考を発表している五十嵐仁・法政大学名誉教授は「政権与党側にこれほどの危機感を生み出した野党共闘を『衆院選だから』ということでやめようというのはありえない話」としてこう指摘します。「民進党代表選候補の人たちは『国民の信頼を取り戻す』といっています。であれば、参院選に向けて共産党など野党や市民との間で交わした確認事項を守ることこそ、信頼を取り戻すことになります」

違いを認め、一致点で共同

「野党の共通政策」実現する確かな道

図

 安倍政権が参院選後も危機感を強めている野党と市民の共闘。15日に新代表を選出する民進党代表選候補からも発言が出ています。

 蓮舫代表代行「参院選での共産党を含む野党連携に一定の評価はある。衆院選で綱領や政策が異なる政党と政権を目指すことはない」

 前原誠司元外相「参院選での野党共闘は一定の結果があったが、衆院選は政権選択選挙なので、(野党共闘を進めた)岡田克也代表の路線は一度リセットすべきだ」

 玉木雄一郎国対副委員長「基本的な考え方が違う政党とは一線を画すのが大原則だ。中長期的には単独で政権を担える政党にならないといけない」(いずれも2日の候補者共同会見)

連合政権の“基本”

 参院選での野党共闘は評価しつつも、政権のあり方が問われる衆院選は別問題とみる主張です。五十嵐仁・法政大学名誉教授は、「安保法制(戦争法)廃止・立憲主義の回復」の大義を実現するには参院選だけでなく衆院選でこそ求められると指摘したうえで、野党共闘のあり方について問題提起します。

 「綱領や政策が異なっているからこそ、一致できる部分に限って行動するというのが統一戦線の基本です。連合政権についても同じです。別の政党ですから綱領や政策が異なっているのは当たり前ですが、そのような政党が共通の目標や一致する政策の実現を目指して手を結ぶのが連合政権ではないでしょうか」

 実際、2009年に発足した鳩山連立政権は、綱領や政策が異なった民主党や社民党、国民新党による連立政権でした。いまの安倍政権も綱領などの異なる自民党と公明党による連立政権であり、世界では連立政権が当たり前になっていると五十嵐氏。「違いを認め、その中で一致点、共通点を探してともに力を合わせるのが基本の『キ』なのです」

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(写真)「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」と政策要望書を交わした共産、民進、社民、生活の4野党=6月7日、参院議員会館

 日本共産党の小池晃書記局長は5日の記者会見で、民進党など4野党間で衆院選でも「できる限り」の協力を行うことを何度も確認し、野党の共通政策でも、「安保法制廃止・立憲主義の回復」「アベノミクスによる格差と貧困の拡大を是正する」「安倍政権の下での憲法改悪に反対する」ことなどに加え、15本の野党の共同提出法案や「市民連合」との間で確認した19項目の政策などを豊かに発展させていることを強調しました。

「共闘継続を」の声

 五十嵐氏は「こうした共通点があるからこそ、参院選で共闘が実現したわけです。その力は市民の力。1人区での選挙協定や確認事項などによって積み重ねられた一致点は、政権を共にすることによってこそ実現できるものではないでしょうか」と問いかけます。

 現場では、野党と市民との共闘は、「行き詰まる」どころか「この道しかない」という声が高まっています。共同通信社が行った民進党47都道府県連幹部による聞き取り調査によると、次期衆院選での野党共闘について、22都道県が「継続」を求め、「やめるべきだ」とした9府県を大きく上回っています。


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