2016年9月6日(火)
天井板の連結 被害拡大か
9人死亡 笹子トンネル事故 2012年
「ドミノ倒し」で崩落広がる “設計ミス”研究者が指摘
2012年に中央自動車道の笹子トンネル(山梨県大月市・甲州市)上り線で9人が犠牲となった事故で、天井板同士を連結する構造だったことが138メートルにわたって天井板を崩落させ、被害を拡大させた可能性があることが、大阪経済大学情報社会学部の西山豊教授の発表でわかりました。
「連結させていなければ、このように落下することはなく犠牲者が出なかった可能性が高い」と指摘しています。
この指摘は日本科学者会議が京都市で開催した総合学術研究集会での3日の分科会で、発表したものです。
笹子トンネルの天井板は、左右の天井板と中壁を長さ6メートルの鋼材(CT鋼)2本で連結させたものです。上部の鋼材とつながったアンカーボルト16本で、トンネル天頂部からつり下げていました。
12年12月2日に発生した事故は、アンカーボルトが天頂部から脱落したことが発端でした。
西山氏は国土交通省の事故調査・検討委員会がまとめた調査報告書の資料などを分析。
その結果、同トンネルの天井板は、中壁が前後の鋼材をまたぐ構造だったことがわかりました。(図)
“被害の最小化”発想が抜け落ち
発表で西山氏は「中壁を介して、トンネルの全ての鋼材がつながっている。1カ所の天井板が崩落すれば、ドミノ倒しのように波で落下していく構造になっている。被害を最小限に食い止めるフェイルセーフの発想が抜け落ちている」と指摘しました。
また「私は、1976年にトンネルを造った際の設計ミスと考える。責任を追及しておかなければ、私たちや次の世代にとって大変なことになる」とのべ、責任追及と真相究明の重要性を強調しました。
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