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2016年9月5日(月)

主張

介護「年齢下げ」案

あまりに乱暴な負担増議論だ

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 厚生労働省が、介護保険制度の改定を議論している社会保障審議会(厚労相の諮問機関)部会で、保険料を負担する対象年齢を現在の「40歳以上」から引き下げることを検討する方針を示しました。介護保険改定をめぐっては、すでに保険給付の縮減や利用料の負担増などが提案されており、次から次へと国民に苦難と負担を求めようとする安倍晋三政権のやり方に、強い怒りを禁じえません。負担ばかりが重くなり、いざというとき使うのが困難な仕組みとは、いったい何のための制度なのか。暮らしの実態を無視した乱暴な議論をすすめるべきではありません。

若年層の暮らしを脅かす

 介護保険は、40歳以上の人を強制加入させる仕組みとして2000年にスタートしました。40歳になると保険料を支払うことになりますが、徴収方法は、65歳以上の「1号被保険者」と、40〜64歳の「2号被保険者」の二つに分かれています。今回、厚労省が提案したのは、「2号被保険者」の加入者の年齢を40歳未満に拡大するというものです。厚労省はどの年齢まで下げるか具体案は示さなかったものの、審議会では「20歳以上」を求める意見も出されています。

 加入者の範囲拡大は、介護保険制度導入時にも20歳以上案が検討されたように、政府・厚労省にとって長年の懸案です。しかし05年前後の改定にかかわる議論を事実上最後に、検討は進んでいません。介護保険の給付対象になるまでかなりの年月がかかる若年層に広く負担をかぶせることは、「国民の納得」が得られないのではないかという声が広がったためでした。

 だいたい、非正規の雇用など不安定で低収入の「働く貧困層(ワーキングプア)」の増加が深刻化している若年層に対して、新たな保険料負担を強いる発想自体が、乱暴です。かつて厚労省の検討会でも、所得の低い若者まで対象を広げることで新たな「保険料の未納問題」が発生することへの強い懸念が出されていました。

 ところが厚労省は、今年2月に始まった18年度介護保険改定に向けて審議会に示した資料で、数多くの検討項目の一つのなかに「被保険者範囲等」という表現を紛れ込ませました。そして7月の参院選挙後に開かれた審議会になると、「要介護1、2」以下の生活支援の給付削減案や、利用料の2割負担化案などに続き、「年齢引き下げ」を本格的に提案し、議論を加速させようとしています。

 被保険者の拡大は、介護保険の将来のあり方そのものを左右する大きなテーマです。とりわけ40歳未満の国民には暮らしに直結する大問題です。それを選挙中は黙ってやり過ごし、選挙が終わった途端に持ち出してくる―。こんな悪質な安倍政権の「だまし討ち」を認めることはできません。

理不尽なやり方は撤回を

 保険料の負担対象拡大を議論した審議会では「若い世代へのしわ寄せだ」と反対が続出しました。介護保険財政が「厳しい」から負担する人数を増やせばいいというのはあまりに安直で理不尽です。負担対象拡大案は撤回すべきです。

 大企業・大金持ちを優遇する税制を改めることや、大型公共事業・軍事費の無駄を削ることなど、税の集め方と使い方を抜本的に見直し、社会保障の財源を確保する政治への転換が急がれます。


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