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2016年9月3日(土)

主張

雇用指標との落差

消費の立て直しは緊急の課題

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 今週発表された経済指標で、完全失業率や有効求人倍率など雇用に関連した指標は好況に匹敵するほど「改善」しているのに、家計の消費支出は長期にわたって落ち込みが続き、消費の冷え込みが深刻化していることが改めて浮き彫りになりました。日本経済の6割を占める個人消費が落ち込んだままでは経済もくらしもよくなりません。雇用と消費の経済指標の落差は、雇用は増えても賃金が低い非正規の雇用が中心になっているためです。消費の立て直しとともに、賃金の引き上げや正社員化など、雇用の劣化を食い止める対策が不可欠となっています。

非正規雇用の拡大が背景

 発表された雇用関連の指標によると、7月の労働力調査では就業者数、雇用者数とも増え、逆に働く意思があっても仕事に就けない完全失業者は203万人に減少しました。完全失業率は季節調整値で3・0%と、6月に比べ0・1ポイント下がっています。完全失業率は日本の異常なバブル景気が崩壊し始めたころの1995年5月以来21年2カ月ぶりの低さです。

 雇用者が増え、失業者が減っているのは建設業や流通業などで人手不足が深刻化しているからで、一般職業紹介状況で求職者に対する求人の割合を示す有効求人倍率は1・37倍と、求人が上回っています。完全失業率と同じく1990年代初めの91年8月に匹敵する水準です。

 問題はそうした「好調」にみえる雇用の中身です。労働力調査で雇用者数を見ると、正規雇用の職員・従業員が1年前に比べ増えたのは21万人なのに、非正規雇用の職員・従業員は69万人増えており、役員を除く雇用者数に占める非正規の割合は37・6%とほぼ4割近くに上っています。一般職業紹介状況で見ても正社員の有効求人倍率は0・88倍にすぎません。安倍晋三政権の「アベノミクス」のもと、「雇用改善」の実態が伴っていないのは明らかです。

 派遣やパートなど非正規雇用の労働者は雇用が不安定なうえ賃金も安く、「ワーキングプア(働く貧困層)」と呼ばれる年収が200万円に満たない人も少なくありません。このため見かけ上、雇用は増えても収入は伸び悩み、消費の拡大には結び付きません。そのことを浮き彫りにしたのが、家計調査など消費関連の経済指標です。

 7月の家計調査によると、1世帯当たり(2人以上の世帯)の消費支出は前年同月比で実質0・5%、物価上昇を織り込んだ名目でも0・9%の減少です。家計の消費支出はうるう年だった2月を除けば昨年9月以降連続して前年を下回っており、消費の伸び悩みは明白です。内訳では被服や自動車関連費などが減少しており、家計の苦しいやりくりが明白です。

「働き方改革」いうなら

 個人消費の拡大には大企業がもうけをため込みにばかり回すのをやめさせて賃金を引き上げることや社会保障の充実などが不可欠ですが、非正規雇用の拡大によって雇用と消費の落差が広がっている以上、非正規の増加を抑えて正社員化を進めることも重要です。

 安倍政権は内閣改造後「働き方改革」を重視するとし、「非正規」という言葉を一掃するなどと言いだしています。それならまず、労働者派遣法の改悪など非正規雇用を拡大する政策はやめるべきです。


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