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2016年9月3日(土)

年金積立金 巨額損失後に4兆円投入

損失膨張 株価下落時に買い支え

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 公的年金が昨年夏以降、株価が下落しているにもかかわらず、4・4兆円を株式に追加投資していたことが本紙の調べで分かりました。同時期、資金運用全体のうち、国内・国外債券での運用を除き、国内・国外株式での運用に限ってみると、14兆円近い損失を出していました。株価の大幅下落によるものです。4・4兆円もの追加投資は、株価を最重視する安倍晋三政権の意向を反映したものです。株価の下落局面で、年金が株式の買い支えに使われたことを示しています。(佐久間亮)


 公的年金の運用資金は国民が納めた年金保険料が原資です。運用額は約130兆円で主に国内外の債券や株式に投資しています。市場運用の目的は「年金事業の運営の安定に資する」こと。短期間で巨額の損失が発生する株式は、年金の安定を危うくする不安定要因であり、運用資産とするのは問題です。

 事実、株式市場が低迷する中、公的年金は2015年7〜9月期に株式で8兆円の損失を計上しました。年明け以降も、世界経済減速や英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響を受け、1〜3月期5・9兆円、4〜6月期4・7兆円と巨損を連発。15年7月以降の損失は14兆円に達しました。

 安倍政権は14年10月、公的年金の運用方法を見直し、安全性の高い国内債券の比率を60%から35%に引き下げる一方、株式比率を24%から50%へ倍増しました。株式比率を1%上げるだけで1・3兆円の資金が株式市場に流れ込みます。公的年金で株価をつり上げアベノミクスを正当化する狙いでした。

 官邸主導で国内債券から株式への資金移動が決められた結果、株式運用の危険が顕在化した15年7月以降も、公的年金は国内債券から5・8兆円の資金を引き揚げ、そのうち4・4兆円を株式に移す事態が生じたのです。14年10月の運用見直し以降の株式への追加投資の合計は12兆円。安全性の高い資産を減らし、株式比率を増やしたことが株価下落局面での損失を膨張させる要因になっています。


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