「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年8月29日(月)

主張

マイナンバー運用

不安と不信がますます強まる

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 赤ちゃんからお年寄り、在日外国人まで日本に住民登録している人全員に12桁の番号を割り振り、その個人情報を国が管理するマイナンバー(共通番号)制度について、安倍晋三政権が利用範囲の拡大へむけた検討を加速しています。マイナンバーは今年1月に本格運用が始まったものの、番号を記載したカードを希望者に発行するシステムの障害や不具合が相次ぐなど矛盾と混迷が続いています。住民の大切な個人情報を扱う仕組み自体が、お寒い状況だというのに、利用拡大に熱中する安倍政権の姿勢は、あまりにも国民不在です。

泥縄式に税金投入を拡大

 マイナンバー制度は昨年10月から、すべての住民に対して個人番号を通知する郵送が始まり、今年1月から税や社会保障の行政手続き、勤務先への告知など一部で利用が行われています。しかし、圧倒的多数の国民にとって日常的に使う機会はほとんどありません。転居の際の役所の手続きの手間が簡単になるなどという安倍政権の宣伝を、国民は実感できません。

 希望する人には、個人番号と顔写真、生年月日、ICチップなどの情報が記された「個人番号カード」が発行されますが、カード発行を全国的に管理するシステムが作動しなくなるなどトラブルが続発し、カードを受け渡す市町村の窓口で混乱を引き起こしました。

 安倍内閣は24日閣議決定した今年度の第2次補正予算案で、障害をおこしたカード発行システムの改修・補強、カードの利用促進などのために150億円以上を計上しました。すでに数千億円が投じられたシステムが本格運用した途端に不調になったことは、構造的な欠陥すら疑われる問題です。その原因の十分な解明も検証もない段階で、追加の税金を投じるのは、あまりに「泥縄式」ではないのか。これでは、システムの不具合が起きるたびに、際限なく税金を投入する事態になりかねません。

 「個人番号カード」はいまのところ身分証明以外に使い道がありません。さまざまな個人情報が詰め込まれるカードを持ち歩く方が紛失、盗難などのリスクを高めます。そんな危ういカードを「くらしが便利になる」ことばかり強調し、大規模な普及に力を入れる政府のやり方は、住民のプライバシーを保護する姿勢とかけ離れています。

 カード希望者数も約1000万人(6月末)で政府が今年度に見込んだ普及数の半分にも届きません。このことは多くの国民がこの仕組みを必要としていないことを示しています。カードを使わせるために、買い物ポイントとの連携、図書館の貸し出し、健康保険証などにまで際限なく利用対象を広げることを狙い、安倍政権が検討会などで具体化をはかっていることは重大です。プライバシー保護を置き去りに、前のめりの普及促進はすべきではありません。

徹底的な検証こそ必要

 マイナンバー制度は、国民の税と社会保障の情報を国が掌握し、徴税強化や社会保障給付の抑制の手段に使うことが導入の狙いです。国民の行動や思想を監視する手段にされかねないことへの不安と警戒の声も上がっています。

 問題だらけで危険なマイナンバーの仕組みを徹底検証し、制度の凍結・中止、廃止を含めた見直しをすることこそ、いま必要です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって