2016年8月27日(土)
社会保障大改悪を先取り
厚労省概算要求 年金給付改定なし
厚生労働省は26日、2017年度の概算要求を発表しました。安倍内閣が「だまし討ち」のように進めている社会保障大改悪を先取りする内容です。総額31兆1217億円で、昨年比8108億円増、2・7%増です。
医療・年金などの自然増は昨年比200億円減の6400億円。3年間で1・5兆円の自然増に抑える安倍内閣の方針に基づき、年末の予算編成に向けて5000億円にまで抑え込む構えです。
一方、消費税増税分を充てるとしていた社会保障の拡充は、年金受給資格の短縮(25年から10年へ)だけにとどめ、低年金者への上乗せ給付(5千円)などは掲げていません。
待機児童解消については、保育所などの整備は前年並みにとどまり、保育士給与引き上げも月額6千円だけ。全産業平均より10万円以上も低い待遇の改善にはほど遠い内容です。
介護では、「要支援1・2」の訪問・通所介護に対する保険給付外しが最終年度に入ります。介護人材の給与引き上げは月1万円で、他産業より10万円も低い待遇改善には及びません。
医療では、後期高齢者保険料の「特例軽減」を打ち切る計画。保険料は2〜10倍に跳ね上がり、低所得の高齢者に大幅な負担増を押し付けます。
年金では、物価上昇が1%あるものの賃金上昇が見込めないとして給付の改定はありません。物価・賃金上昇以下に年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」を2年連続見送るため、先送りして実施できる法案を国会に提出しています。
世論に押されて、非正規雇用労働者の正社員転換に向けた「キャリアアップ助成金」の増額、“同一労働同一賃金”の支援を行う「非正規労働者待遇支援センター」の設置、長時間労働を是正するための法規制の執行強化を打ち出しました。
しかし、非正規雇用を固定化・拡大する改悪労働者派遣法はそのままです。長時間労働を野放しにする「残業代ゼロ法案」の成立も掲げており、逆行する姿勢が問われます。