2016年8月27日(土)
共謀罪 名称変え提出検討
テロを口実 法案策定
対象・要件 解釈次第で拡大
実際の犯罪行為がなくても相談し合意しただけで犯罪とされる共謀罪について、政府は、名前を変えた新たな法改定案を策定したことが26日までに分かりました。2020年の東京五輪や「テロ対策」を口実としたもので、9月召集の臨時国会への提出を検討しているとみられます。国民の強い反対で過去に3回も廃案になった最悪の国民弾圧法を執拗(しつよう)に狙う姿勢に強い批判と懸念の声があがっています。
今回まとめられた政府案は、組織犯罪処罰法を改訂し、そのなかに盛り込まれた共謀罪の罪名に「テロ」を冠して「テロ等組織犯罪準備罪」と名前を変更。「テロ対策」が目的であることを強調しています。
過去に廃案となった法案では、適用対象を「団体」としており、労働組合や市民団体に適用される恐れがあると批判されました。それを意識して今回は「組織的犯罪集団」が対象と変更しています。
また、「相づちを打っただけで犯罪になる」といった懸念を打ち消すため、犯罪の計画に資金の提供などの具体的な「準備行為」を行うことを犯罪の構成要件に加えました。
しかし、「組織的犯罪集団」や「準備行為」といった言葉の定義は極めてあいまいです。捜査当局の解釈次第でいくらでも拡大され、市民への弾圧に悪用される恐れが十分にあります。
共謀罪が適用される罪は過去に廃案となった法案と同様で「法定刑が4年以上の懲役・禁錮の罪」です。その範囲は、道路交通法や公職選挙法なども含まれ600を超えるとみられます。
そもそも共謀罪は、犯罪の行為ではなく合意するだけで処罰するというもので、犯罪行為があって初めて罰する現行の刑法原則から大きく逸脱しています。
共謀罪の捜査も日常的な会話やメールの内容から「合意」を判断することになります。そのため改悪され対象が広げられた盗聴法を根拠に通信傍受などの市民監視もさらに強まります。