2016年8月26日(金)
南スーダン深刻な内戦状態
自衛隊の任務拡大なら「殺し殺される」事態に
安倍政権は、安保法制=戦争法にもとづき、自衛隊に国連平和維持活動(PKO)での「駆けつけ警護」など新任務の訓練開始を決定しました。しかし、新任務を想定する南スーダンは事実上の内戦状態で、PKO参加原則である停戦の維持も、当事国の同意も危うくなっています。「戦争法」発動による任務拡大となれば、憲法が禁じる武力行使となり、「殺し殺される」ケースになりかねません。
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南スーダンでは、7月7日に首都ジュバでキール大統領派とマシャール副大統領派の戦闘が再開し、マシャール氏が国外に脱出するなど、政情不安が続いています。これに対し国連安保理は今月、周辺地域諸国からの新たな部隊派遣を決定しましたが、事態の複雑化や新たな緊張の火種になりかねない状況です。
和平の事実上の崩壊のなか、兵士による民間人襲撃、国連機関の備蓄や備品の略奪が発生しました。
混乱と緊張は地方でも続いており、中部ジョングレイ州では21日、マシャール派が政府庁舎を襲撃し、同部隊の100人以上が死亡、政府軍に20人の死者が出ました。北部ユニティ州で政府軍と反対派の間の戦闘が激化し、20日までの1週間で数千人が家を逃れたと報じられています。
国連安保理は12日、4000人規模の「地域保護軍」の派遣を決定しました。東アフリカの地域組織「政府間開発機構」(IGAD)が5日に拡大首脳会議を開いて派遣を承認していました。
ところが安保理では、ロシア、中国、エジプト、ベネズエラの4カ国が決議の内容を批判し、棄権。
ベネズエラ代表は、受け入れ国家の同意なしに地域保護軍を配備すれば「現地情勢をさらに緊張させ、暴力的にしかねない」と警告しました。
安保理で発言した南スーダン代表は、IGADの軍のトップと南スーダン政府との協議を待たずに、派遣の規模や時期、部隊の任務までが安保理決議で決められたことに「主要な紛争当事者の同意という国連平和維持活動の基本原則に反する」と批判しました。