2016年8月25日(木)
助手の院生らに団結権
米国行政機関 私大でも労働者と判断
コロンビア大で労組結成へ
【ワシントン=洞口昇幸】米国で労働問題の解決にあたる独立行政機関「全米労働関係委員会」(NLRB)は23日、ニューヨーク市の私立コロンビア大学の大学院生らが申し立てていた、私大で研究・授業の助手としても働く大学院生・学生の労働組合を結成する権利を認める裁定を下しました。
NLRBは今回、私大で働く学生助手は、労組結成など労働者の団結権を保障する全米労働関係法によって保護される労働者であると判断しました。NLRBは2000年に同様の裁定を出しましたが、04年に当時のブッシュ政権(共和党)の下で、私大の学生助手の労組結成は法的に保障されないと、判断を変更していました。
コロンビア大学の助手としての労働環境の改善を求めて労組結成に取り組む大学院生らは14年12月にNLRBに申し立てを行い、審議が続いていました。
米国の大学では、教授の授業や研究を助手として手伝い、給与をもらう大学院生が多くいます。しかし「労働者ではなく学生である」とされ、福利厚生がなかったり、給与体系は教授や学部学科によって決められたりするなどの問題があります。
ロイター通信によると、コロンビア大学の大学院生らは今秋の早い時期に労組結成のための投票を行う予定。今回の裁定は私立大学の場合に適用されます。公立大学での同様の労組結成の権利は各州の労働法に基づき、これまでに12以上の州で労組がつくられているといいます。
私大での学生助手の労組結成の取り組みを支援してきた全米自動車労組(UAW)は、「労組結成の権利を取り戻した」と今回の裁定を歓迎しています。