2016年8月22日(月)
尊厳持てる社会を
基礎教育保障学会が設立大会
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基礎教育保障学会の設立大会が21日、国立国語研究所(東京都立川市)で開催されました。同学会は、貧困や家庭の事情で生活に必要な教育を受けられなかった人々の支援を目的として、研究者や教員らが設立しました。155人が参加しました。
同学会は基礎教育を「人間が人間として尊厳を持って生きていくために必要最低限の基礎的な教育」と定義しています。定義を踏まえ全ての人が義務教育をうけることができる社会を基本としつつ、就学前教育、職業教育、成人識字教育なども含めた幅広い教育を受けることができる社会の構築を目標としています。
会長に就任した上杉孝實京都大学名誉教授は、「これまでいろいろな実績を重ねてきた方々が一緒になって作り上げた学会です。今後はより実践に根ざした研究を目指していきたい」とあいさつしました。
岡山大学の大安喜一教授が、アジアにおける基礎教育の普及について講演。学校教育の充実だけでなく、学校卒業と同じ資格を得られる代替教育制度や、NGOとの共同で基礎教育を提供している事例などを紹介しました。
夜間中学生を中心とした学びの場「えんぴつの会」の見城慶和さんは、夜間中学で指導した生徒の実例を紹介し、自身が選び抜いた生活に欠かせない381の生活基本漢字について講演しました。
リレートークでは、子どもの貧困をめぐる状況や日本では識字調査が行われていないこと、障害者の教育支援などが話されました。
参加した男性(27)=東京都台東区=は、「『えんぴつの会』に所属しています。いろいろな話が聞けて面白かった」と話しました。