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2016年8月20日(土)

主張

駅ホーム転落事故

利用者の安全優先で対策急げ

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 盲導犬を連れた目の不自由な男性が、東京都内の地下鉄の駅ホームから転落し電車にはねられて死亡した事故が、視覚障害者や関係者に不安と衝撃を広げています。視覚障害者にとって駅ホームは「欄干のない橋」に例えられるほど危険な場所だというのに、防止策の遅れによって痛ましい事故が繰り返される事態は深刻です。再発防止策の整備は待ったなしです。

視覚障害者に「命の危険」

 事故を検証するため、現場の東京メトロ銀座線青山一丁目駅を東京視覚障害者協会(東視協)の人たちが調査を行いました。「点字ブロックに沿って歩くと柱にぶつかる。これまで転落事故がなかったのが不思議だ」と参加者の1人は語ります。事故の本格的な原因解明はこれからですが、ひっきりなしに電車が入る騒音もひどく、視覚障害者にとって危険なホームの実態が浮き彫りになりました。

 ホームでの転落事故は後をたちません。東視協の調べでは1994年12月〜2015年4月で視覚障害者がホームから転落し重傷もしくは死亡した事故は54件にのぼります。日本盲人会連合のアンケート調査(11年、有効回答252人)では、約4割の視覚障害者がホームからの転落経験があり、約6割が転落しそうになったとの結果が出ています。

 転落防止策として有効なのは、ホームドアやホーム柵の設置です。日本盲人会連合の調査でも多くが「ホーム柵の設置」を求めています。国土交通省の検討会も「視覚障害者の転落を防止するための設備として非常に効果が高く」と整備促進の重要性を説く報告書(11年)をまとめています。東京メトロ丸の内線では、全駅にホームドアを設置してから転落事故はゼロになったといいます。

 しかし、全国に約9500ある駅のうちホームドア設置駅はわずか665駅です。国交省が20年を目標に優先設置を求めている10万人以上が利用する約250駅では、3割程度の77駅にとどまります(16年3月現在)。これにたいして、一般の人も含めたホーム転落件数は09年の2442件が14年に3673件へと増加しています。危険な事故をこれ以上広げないためにもホームドアの設置の遅れを解決することが急がれます。

 ホームドアの設置が遅れているのは、費用負担の大きさなどがネックになっているとされています。今回事故があった駅もホームドア整備は2年先にされ、ホームの危険を知らせる点字ブロックが敷設されていました。しかし、多くの視覚障害者は「このブロックだけでは安全は担保できない」と指摘しています。国や自治体は事業者まかせにするのでなく、ホームドア整備が加速するよう必要な手だてをとることが求められます。

人員配置の拡充不可欠

 駅のバリアフリー化が進む一方で、駅の無人化や職員の配置数縮小などが行われていることは重大です。適切な人員配置は、バリアフリーの一つの基礎的土台です。事故防止の点でも、ハードとソフト両面の拡充が不可欠です。新たにバリアをつくることになる駅無人化の推進は許されません。

 障害の有無にかかわらず、誰もが命の危険にさらされることなく安心して利用できるよう、公共交通機関の整備を最優先にしていくことが政治の大きな責任です。


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