2016年8月18日(木)
核先制不使用支持を
川口元外相ら40人が声明
各国元閣僚・専門家など
川口順子元外相やオーストラリアのエバンズ元外相らアジア太平洋地域の元閣僚や安全保障の専門家など40人が16日、声明を発表し、米国のオバマ政権に対して核兵器の先制不使用政策の採用を強く働きかけるとともに、アジア太平洋地域の米同盟国にも、米国の「先制不使用」政策採用を支持するよう呼びかけました。
安倍晋三首相がオバマ政権の核「先制不使用」政策採用に反対する意向を米国に伝えていたことが米紙ワシントン・ポスト15日付で報じられている中、声明は日本政府の姿勢に転換を迫るものとなっています。
声明文には、ニュージーランドのパーマー元首相、スリン前東南アジア諸国連合(ASEAN)事務局長、スリランカのダナパラ元国連事務次長らも名を連ねています。日本人では川口氏のほか、湯崎英彦・広島県知事、鈴木達治郎・長崎大核兵器廃絶研究センター長、阿部信泰・元国連事務次長が加わっています。
声明は、核「先制不使用」政策の採用について「潜在的な恩恵は、起こりうるマイナス面を上回る」と強調。前方配備や警告即発射の態勢などの必要性をなくし、「偶発的あるいは許可のない使用の可能性を大幅に低下させるだろう」と述べています。
また、米国にならいすべての核保有国が「先制不使用」政策を採用するならば、「戦略的安定を強化し、危機の不安定さを弱め、核兵器と通常兵器の境界を確固なものとし、核兵器使用に対する規範を一層強固なものとするような、全世界的な核の自制の体制の中核となるだろう」と指摘しています。