2016年8月16日(火)
女性106人が国を提訴
東京地裁 「安保法強行で権利侵害」
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安保法(戦争法)の強行によって憲法が保障する平和的生存権などが侵害され現実に精神的苦痛を受けたとして、北海道から沖縄までの女性106人が15日、国に1人10万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。
原告は「安保法制違憲訴訟・女の会」メンバーで40代〜80代。ジャーナリストや元教師、介護や航空業界など幅広い経歴の持ち主といいます。
訴状は、原告が「平和憲法を誇りとし、差別や暴力に挑み続けた」人々だとして、同法の制定に向けた政府の行為が原告の信頼を裏切ったとします。
また、同法による権利侵害は将来の集団的自衛権の行使によって生じるのではなく、「現在存在している」と強調。「原告らをテロや戦争の危険にさらし、女性に対する差別や暴力の危険を現実のものとしている」といいます。
代理人の中野麻美弁護士は司法記者クラブでの会見で「平和と女性の権利は不可分であり、終戦は女性の解放でもあった。訴訟では戦争に巻き込まれない権利を確認し、法の危険性を十分に審議しないまま強行成立させた政府の責任を問う」と語りました。
原告の関千枝子さん(84)は女学校時代に広島で被爆し、多数の同級生を失った経験を紹介。「終戦翌年に『戦争放棄』を学校で聞き、亡くなった同級生が聞いたらどんなに喜んだかと思ったのが忘れられない。戦後民主主義抜きに私の人生はない。それを安保法制が全否定した」と語りました。