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2016年8月16日(火)

稲田防衛相、参拝せず

ジブチ視察 急ごしらえ

安倍政権の対応で“混迷”

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 改憲タカ派の発言を繰り返してきた稲田朋美防衛相が終戦記念日の8月15日に靖国参拝を強行するかが注目されていましたが、「公務」のために参拝は行いませんでした。

 稲田氏は13〜16日の日程で、ソマリア海賊対策の拠点としてアフリカ北東部・ジブチに置かれている自衛隊基地の部隊を視察することが11〜12日にかけて急きょ決まりました。稲田氏は12日、記者団から「靖国参拝は?」と問われ、「安倍内閣として適切に対処する」と涙声で答えています。

 同日発表されたジブチ視察の日程は多くが「調整中」で、「何をしに行くのか」とメディア関係者からも疑問の声が出ていました。自民党関係者からは「ジブチ行きは稲田氏本人の知らない間に首相官邸が決めた。“靖国参拝封じ”のための急ごしらえだったから日程がスカスカだ」という声が漏れます。

 自民党議員の一人は「官邸と稲田氏本人の両方の顔が立つようにした」と指摘。「中国や韓国、アメリカの批判が予想以上に強いことから、靖国参拝をやめさせなければならない。稲田氏に言い訳が立つようにするには、外国にいて行けなかったことにする。それで急に決めた視察だから中身があるわけがない」と解説します。

 さらに、「稲田氏を防衛相にするからにはこうなることはわかっていたはず。『日本会議』や右派は怒っている」と安倍政権の対応の“混迷”を指摘します。

 稲田氏は、日本会議議連の中心メンバーの一人で、「東京裁判史観からの脱却」を主張。自らも毎年8月15日に参拝を行い、第2次安倍内閣発足後、行政改革担当相に就任してからも参拝を続けてきました。稲田氏は、3日の内閣改造で防衛相に就任後、「参拝するとかしないとか言わない」として、参拝の可能性を否定しませんでした。

 安倍内閣の対応の混迷の根底には、日本の侵略戦争を正当化する「靖国」史観と世界の流れとの深い矛盾があります。(中祖寅一)


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