2016年8月10日(水)
きょうの潮流
練習前のあいさつや柔軟体操までまねされた、といいます。かつて日本の体操が五輪、世界選手権で10連覇していた頃。旧ソ連の体操関係者が頻繁に来日し、ビデオで日本選手の練習や競技会を撮っていきました▼1964年の東京五輪で、団体とともに日本初の体操個人総合金メダリストになった遠藤幸雄さんが前に語っていました。戦後日本の体操界が築いてきた美しさと技の完成度。それは世界のスタンダードになっていたと▼その後、長らく低迷した「体操ニッポン」が復活したのは2004年のアテネ五輪。そして今回、エースの内村航平選手をはじめ、5人の選手たちが日本体操の長所を光らせながら、それぞれの持ち味を発揮。ふたたび団体の頂点に立ちました▼姿勢のきれいな動き。指先からつま先まで神経の行き届いた演技、日本選手がめざしてきた体操は自身の力で体を自在に操る競技の真髄を表しているでしょう。内村選手自身、何よりも美しい体操にこだわってきました▼技の難度と完成度が求められる現在の体操競技。両方を兼ね備えた内村選手の演技は世界中の体操選手のお手本に。日本チームの中でも22歳の加藤凌平選手や19歳の“ひねり王子”白井健三選手らが受け継いでいます▼近代五輪が始まった120年前から実施されてきた体操競技。一時は曲芸じみた大技に走る傾向もありましたが、近年は日本を見習い、本来の美しさや力強さを競い合うように。その伝統と歴史は、しっかりと今に受け継がれています。