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2016年8月9日(火)

主張

介護施設の負担増

国民の苦しみが見えていない

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 参院選が終わったとたん安倍晋三政権が介護大改悪の動きを加速させるなか、8月から特別養護老人ホームなどに入所している利用者で新たに負担が増える人たちが生まれています。障害年金や遺族年金を受給している人の食費と居住費の軽減策が縮小されたためです。昨年8月から始まった、一定額以上の預貯金がある特養利用者などの負担増に続くものです。昨年からの負担増では利用料が月5万〜10万円もはね上がった利用者が続出し打撃は深刻です。その実態をかえりみることなく、次々と負担増を強いる安倍政権のやり方は、あまりに冷酷で異常です。

退所せざるをえない人も

 特養や老人保健施設などの利用者の食費と居住費は、2000年の介護保険発足時は保険給付の対象でした。05年の制度改悪で保険給付から除外されましたが、国民の批判の高まりをうけて、低所得者には軽減策(補足給付)をとることにしたものです。「終(つい)の棲家(すみか)」とされる特養などに長期入所する低所得の高齢者には、なくてはならない柱の一つとなっています。

 この軽減策の縮小を、14年成立の「医療・介護総合法」にもとづき実行しているのが安倍政権です。最初の負担増は昨年8月からです。夫婦の片方が特養などに入って世帯を分離した場合、それまでは入所した人のみ低所得(住民税非課税)なら軽減対象になりました。ところが、今度は配偶者も低所得基準を満たさなければ軽減を受けられなくしました。単身で1000万円超の預貯金がある低収入の人なども軽減の対象外にされました。これと同時に、一定以上の収入がある人の介護サービスの利用料負担を1割から2割へ引き上げる改悪まで行われました。

 軽減策がなくなると1日の食費が3倍にはね上がる人もいます。これらの結果、月の利用料負担が8万5千円から13万円以上になるなど過酷な状況も生じています。

 こつこつ蓄えてきた老後の資金がみるみる減って先が見えない。年金ではとてもまかなえない。妻を施設から退所させて在宅に切りかえるしかない―。「認知症の人と家族の会」が行ったアンケートには追い詰められた利用者・家族の悲痛な声が寄せられています。

 長年入所を待ち続けて、せっかく入れた特養だというのに、その費用が重荷となって退所せざるをえなくなるような事態は、理不尽以外の何物でもありません。預貯金を切り崩さないと暮らせない生活を迫ることは、「老後破産」を加速させることにしかなりません。

 事態はこれだけ深刻なのに、8月から障害年金と遺族年金を受給している特養などの利用者の軽減策を縮小したことは、逆行そのものです。食費・居住費の負担増は中止し、改悪前に戻すべきです。

大改悪への暴走を許さず

 安倍政権は昨年4月、要支援1と同2の訪問・通所介護の「保険給付外し」や特養入所要件を原則要介護3以上に厳格化した上、介護の質を支える介護報酬も過去最大規模で引き下げました。さらに要介護1と同2の新たな「保険外し」に向けた議論をすすめています。「介護離職ゼロ」どころか、介護保険制度の基盤を揺るがす改悪をおしつける安倍政権の暴走を、認めることはできません。介護改悪をやめさせ、安心の介護を再生させる政治の実現が急務です。


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