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2016年8月7日(日)

主張

辺野古新基地訴訟

強権的な手法の不当性は明白

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 沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設問題で、翁長雄志県知事の埋め立て承認取り消しについて、安倍晋三政権が、その撤回を迫った「是正の指示」に知事が従わないのは違法だとして起こした「違法確認訴訟」の第1回口頭弁論が、福岡高裁那覇支部で開かれました(5日)。翁長知事は意見陳述で、辺野古新基地の問題は、沖縄県だけでなく、地方自治と民主主義の根幹に関わる問題だと強調しました。新基地建設を強権的に推し進める安倍政権の無法を許さないたたかいの全国的意義は鮮明です。

思考停止の政府の無法さ

 今回の裁判は、翁長知事の辺野古埋め立て承認取り消しを国が知事に代わって撤回する「代執行」訴訟での「和解」(3月)と、それに基づいた総務省の「国地方係争処理委員会」(係争委)の審理と結論(6月)に続くものです。

 「代執行」訴訟での福岡高裁那覇支部の「和解勧告文」は、「沖縄対日本政府という対立」が、国と地方自治体の関係を「対等・協力」とする「(地方自治法の)精神にも反する」と指摘し、「和解条項」には「円満解決に向けた協議」が盛り込まれました。ところが、国は県との協議を始める前に、埋め立て承認取り消しの撤回を迫る「是正の指示」を出しました。

 「是正の指示」を不服とした県の申し出を受けた係争委は、その適法・違法の判断をすることは問題の解決につながらないとしました。国と県が「真摯(しんし)に協議」を重ねることが「最善の道」だというのが結論でした。

 県も国との「真摯な協議」を求めましたが、国はまともに応じようとせず、今回の提訴に至りました。「係争委の結論を無視するもの」(翁長知事)に他なりません。今回の国の提訴について、翁長知事が裁判所に提出した陳述書(3日)で「しばしば国が喧伝(けんでん)する『沖縄県に寄り添う』対応とはおよそかけ離れたもの」と批判したのはあまりにも当然です。

 国は、翁長知事が埋め立て承認取り消しにあたって、日米関係への悪影響、外交・安全保障上の不利益を何ら考慮しなかったのは問題だと批判しています。極めて不当な言い分です。

 国の主張は「(国内法令に基づく)環境保全に関する審査の結果如何(いかん)とは関係なく、米国との信頼関係がある以上は、埋め立て承認せざるを得ないということ」(陳述書)であり、「日米関係」のためには「国内法規を無視せよ」と言うに等しいものです。沖縄の民意を無視し、辺野古の新基地が「唯一の解決策」とする思考停止の安倍政権の無法ぶりを示しています。

 辺野古への新基地建設が貴重な自然環境と静謐(せいひつ)な生活環境の破壊、沖縄の過重な基地負担・被害の固定化になることを指摘し、埋め立て承認取り消しの正当性を重ねて強調した翁長知事の立場にこそ道理があります。

民主主義が問われている

 翁長知事が「違法な国の関与により、全てが国の意向で決められるようになれば、地方自治は死に、日本の未来にぬぐいがたい禍根を残す」とし、今回の裁判は「地方自治の根幹、ひいては民主主義の根幹が問われている」と強調したことは重要です。安倍政権が新基地と沖縄振興予算をからめる姿勢まであらわにする中、沖縄と結んだ全国のたたかいが急務です。


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