2016年8月7日(日)
大分・野党陣営盗撮
市民監視の疑い濃厚
県警 隠し撮りには謝罪なし
参院選公示前後の6月、大分県別府市内にある野党統一候補、足立信也氏の支援団体の敷地で大分県警別府署員がビデオカメラで隠し撮りをしていた事件。現場の状況や関係者の証言からは、“犯罪捜査”とは無関係な警察による市民監視の疑いが濃厚になってきました。(大分県警市民監視取材班)
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労働相談来訪者も被害か
2台の隠しカメラが設置されていたのは、別府市にある「別府地区労働福祉会館」敷地内の西側斜面。斜面は、助走をつけないと登れない急こう配です。
会館には、連合大分と平和運動センターなどが事務所を置いています。
参院選では、民進党や社民党の支援拠点が置かれました。
2台の隠しカメラは、木の根元から1・5メートルの高さに固定されたものと斜面に置かれたブロックに固定したものがありました。
カメラは会館に出入りする人の顔と、駐車場に止める車が撮れる角度にセットされていました。
事件が明るみに出た今月3日、大分県警の小代義之刑事部長は「捜査活動の一環としてビデオカメラを設置した」と説明。敷地内に無断で侵入したことは“謝罪”したものの、数日間にわたる無断撮影に反省はありません。捜査といいながら、公選法違反なのか何の捜査なのかも明らかにしていません。
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これに憤るのは会館を利用する団体の関係者です。
「会館には、労働相談や生活相談の人、選挙とは関係ない理由で出入りする組合員もいる。仮に公選法違反の捜査だったとしても、捜査対象者に張りついていればいい話だ。会館に来る人すべてを録画する意味がわからない」と指摘します。
隠しカメラのあった期間も、相談者が訪れていたといい、無関係の市民が盗撮の被害を受けています。
関係者によると発見当時、隠しカメラには6月21日午後9時以降の映像が入っていました。それ以前のデータに何が映り、別府署がどのように管理しているのか不明です。
会館側は、盗撮した映像の開示とデータ消去を求めたところ、別府署側は「捜査中だから」として応じなかったといいます。
関係者は「やり方が卑劣だ。労働組合をターゲットにしたとしか思えない」と憤ります。
大分県豊後高田市で起きた「公選法弾圧大分・大石事件」で弁護団長をつとめた河野善一郎弁護士は「実際の選挙運動ではなく、事務所の出入りを撮影しても、なんの捜査にも結びつかない。野党統一候補を支援する活動家や人脈をあらう監視と情報収集が目的だったとしか考えられない。県警の説明に、多くのごまかしがあるのは明らかで、追及が必要だ」と強調します。
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