2016年8月7日(日)
核兵器禁止条約の交渉開始
国連作業部会
報告書案発表 過半数の国が支持
【ジュネーブ=島崎桂】効果的な核軍縮策を議論する国連核軍縮作業部会のタニ・トーンパクディ議長(タイ)は5日、作業部会に参加する約90カ国の過半数が核兵器禁止条約の早期交渉開始を支持したとする報告書案を発表しました。スイス・ジュネーブの国連欧州本部で同日始まった作業部会の第3回会合で議論、採択した後、来月始まる国連総会に提出する予定です。
報告書案は「核兵器を禁止し、完全廃絶する法的拘束力のある措置」を交渉する国連会議を2017年に招集することに関し、「過半数の国が支持した」と指摘。核爆発が「人類に破局的な結果をもたらす危険性は、核兵器が存在する限り残る」と強調しました。
一方、「核の傘」に依存する日本やカナダ、欧州各国を名指しせずに、「一部の国」が核兵器禁止条約の交渉を「時期尚早とみなした」と指摘しました。
想定される同条約の内容については、核兵器の使用や製造、所有、実験の禁止に加え、核兵器搭載機の入国や、核兵器関連投資の禁止を提案。核兵器や核実験の被害者支援も加えました。
核兵器への注意喚起策では、▽平和教育の推進▽歴史教科書での広島・長崎への原爆投下の紹介▽各国首脳らによる同地訪問▽被爆者の証言活動支援▽草の根レベルでの注意喚起―を求めました。
今年2月と5月に開かれた作業部会には、各国政府代表と並び国際団体や市民・平和団体も公式参加。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)や、広島市長を会長とする「平和首長会議」の代表らも参加して発言し、「核兵器のない世界の達成、維持」に向けた積極的な提案を行ってきました。