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2016年8月3日(水)

主張

16年版「防衛白書」

偽りの戦争法宣伝は無責任だ

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 防衛省は、安倍晋三政権による戦争法(安保法制)の成立強行後初の「防衛白書」をまとめました。「白書」は、安保法制の成立・施行を「巻頭特集」で取り上げ、独立の章を立てて「歴史的な重要性」を宣伝しています。戦争法に盛り込んだ集団的自衛権の行使については「コラム」をわざわざ設け、「わが国の意に反して他国の戦争に巻き込まれるということは決してありません」と、国民の多くが抱く懸念の打ち消しに躍起です。しかしそんなことで、海外での米国の戦争に日本が参加し、武力を行使する戦争法の危険な本質をごまかすことはできません。

「抑止」どころか危険招く

 昨年9月に成立が強行された戦争法は、歴代政権が一貫して「憲法上許されない」としてきた見解を百八十度転換し、集団的自衛権の行使を初めて可能にした違憲立法です。「白書」の「コラム」では、戦争法によって「抑止力は更に高まり、わが国が攻撃を受けるリスクは一層下がっていきます」とも強調しています。

 しかし、戦争法が可能にした集団的自衛権の行使とは、日本が直接、武力攻撃を受けていないのに、時の政権の判断次第で、同盟国の米国などと戦争している第三国の攻撃を排除するため、日本が武力を行使するものです。

 元内閣法制局長官の大森政輔氏は国会の参考人質疑で、日本が集団的自衛権の行使として「第三国に武力攻撃の矛先を向けると…(その第三国は)わが国に対し攻撃の矛先を向けてくることは必定であり、集団的自衛権の抑止力以上に紛争に巻き込まれる危険」(昨年9月8日、参院安保法制特別委員会)があると指摘しています。「日本への攻撃のリスクが下がる」などという「バラ色の局面到来は到底期待できない」(大森氏、同)のは明らかです。

 米国がベトナム戦争やイラク戦争のような先制攻撃の戦争に乗り出した際、「日米同盟」の名の下で、言われるままに日本が集団的自衛権を発動して自衛隊を出動させ、侵略国の一員となることにこそ戦争法の本当の狙いがあります。

 「白書」は、戦争法について「抑止力の向上」とともに「地域及び国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献することを通じて、わが国の平和と安全を一層確かなものにしていく」とも強調しています。しかしその実態は、米国への戦争支援に他なりません。

 戦争法によって、米軍に対し自衛隊は輸送や補給などの支援(兵站(へいたん))を「戦闘地域」でもできるようになりました。戦争遂行に必要不可欠な兵站活動は軍事目標として敵から狙われやすく、自衛隊部隊が攻撃されれば応戦し、戦闘に発展することになります。

廃止の世論と運動大きく

 戦争法は他にも、戦乱が続く地域で武器の使用が認められた治安活動を行うことを自衛隊の任務に新たに追加するなど、海外での武力行使を可能にする仕組みがいくつも盛り込まれています。

 「白書」が、戦争法の施行(3月)を受けて「あらゆる面で万全の態勢を整えていく」と強調しているのは重大です。自衛隊が創設後初めて海外の戦場で「殺し、殺される」危険が差し迫っています。憲法9条破壊の戦争法の具体化を許さず、廃止を求める世論と運動を広げていくことが必要です。


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