2016年8月3日(水)
戦争法 反対世論ふれず
16年版防衛白書 辺野古新基地に固執
中谷元・防衛相は2日の閣議で、2016年版防衛白書を報告しました。今年の白書は、3月に施行された戦争法=安保法制の経緯と概要の記述に初めて一つの章をあて、戦後最長となる約216時間の国会審議を経て、自公とその補完勢力5党による「幅広い合意を形成した上で可決・成立した」と弁明。昨年9月に各種世論調査で6〜7割が成立に反対し、違憲論争が巻き起こる中で成立を強行した経緯にはいっさいふれませんでした。
白書は、戦争法をめぐる国内世論にはふれない一方、米国をはじめ諸外国から支持されていることをもって、「世界の平和と安全に貢献する法律であることの証だ」と国際世論を恣意(しい)的に解釈。日米同盟の抑止力向上のために「歴史的な重要性を持つ」と同法施行の意義を改めて強調しました。
沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設をめぐっては、建設に反対する沖縄県との訴訟の和解によって、工事中止にまで追い込まれた経緯の記述を追加。沖縄県議選・参院選で反対の民意が再び示されたにもかかわらず、「県側の理解を得るべく粘り強く取り組む」と新基地に固執の姿勢を改めて示しました。
4月に同県で起きた米軍属による暴行殺人事件については、「再発防止」の取り組みだけを載せ、海兵隊撤退を求める県民大会や県議会決議の動きにはふれませんでした。
1月に4回目の核実験、2月以降も「弾道ミサイル」発射を繰り返す北朝鮮の動きについては、「地域・国際社会の安全に対する重大かつ差し迫った脅威」だと指摘。中国についても、東・南シナ海の動向を念頭に「今後の方向性について強い懸念を抱かせる」と述べ、脅威とみなす認識を強めています。
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