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2016年8月2日(火)

主張

日本経済の指標

雇用「改善」も消費増えぬ異常

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 先週末発表された6月の日本経済の指標で、有効求人倍率や完全失業率など雇用関係の指標の中には「改善」を見られるものがあるものの、家計の消費支出や消費者物価など消費関係の指標は改善が見られないことが浮き彫りになりました。安倍晋三首相は有効求人倍率の「改善」などを持ち出して「アベノミクス」の成果だと宣伝してきましたが、日本経済の6割を占める家計の消費支出が改善しない限り、経済も暮らしも、財政もよくなりません。消費が増えない経済指標は、「アベノミクス」の破綻を浮き彫りにするものです。

4カ月連続で同じ傾向

 6月の経済指標のうち、厚生労働省の一般職業紹介状況で見ると、公共職業安定所(ハローワーク)での求職に対する求人の割合を示す有効求人倍率(季節調整数)は1・37倍となり、前月を0・01ポイント上回りました。求人が増え、求職者が減ったことが上昇につながりました。季節調整値で前月を上回ったのは4カ月連続です。都道府県では唯一1倍を下回っていた全国最低の沖縄県も1・01となりました。雇用関係の指標では総務省の労働力調査でも就業者の増加、完全失業者の減少となっています。

 一方、消費関係の経済指標では、総務省の家計調査で2人以上の世帯の1世帯当たりの消費支出は前年同月に比べ名目で2・7%、物価上昇を差し引いた実質で2・2%の減少、季節調整値で見た前月比でも実質1・1%の減少と落ち込みが続いていることが明らかになりました。消費支出は2014年4月に消費税の税率が5%から8%に引き上げられたあと落ち込み基調が続いており、最近では2月にプラスとなったあと4カ月連続の落ち込みです。今年がうるう年だったことを考慮すれば昨年9月以来10カ月連続の落ち込みです。消費が振るわないためもあって消費者物価指数も生鮮食品を除いて前年同月比0・5%の下落と4カ月連続下落です。

 少なくとも4カ月連続で雇用には「改善」も見られるが消費は回復していない理由の一つは、雇用の「改善」と言われるものが非正規を中心としたものだからです。一般職業紹介状況でも、正社員の有効求人倍率は0・88倍と1に届きません。ハローワークの窓口では希望に見合う仕事が見つからないため求職者の減少が続き、見かけの有効求人倍率を引き上げています。

 派遣やパートなど非正規の雇用は不安定で賃金も安く、消費の拡大に結び付きません。5月の毎月勤労統計調査でみても、勤労者の実質賃金は2000年を100とした指数で5月は81・0、昨年1年間の平均でも94・6にしかならず5年連続の減少です。これでは消費も増えようがありません。

「トリクルダウン」の破綻

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は株高や減税で大企業のもうけを増やせば賃金や消費も増えるという「トリクルダウン」(滴り落ち)がシナリオです。実際には大企業のもうけは増えても内部留保などでため込んでいるため、賃金には回らず、雇用も増えるのは非正規ばかりです。

 安倍政権はきょうにも「経済対策」を決めようとしていますが、「アベノミクス」は加速ではなく直ちに中止し、国民の暮らしを応援する政策への転換が不可欠です。


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