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2016年7月30日(土)

主張

安倍政権経済対策

暮らし優先への転換 ほど遠い

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 参院選中から「アベノミクスを加速する」と言い続けてきた安倍晋三政権の「経済対策」がまとまり、週明けにも正式決定されます。「財政措置の規模で13兆円、事業規模で28兆円」だと言いますが、補正予算案の分だけでなく、来年度予算案に盛り込む分も含まれており、見掛けを膨らませた対策です。金額が張るのはJR東海が進めるリニア新幹線や各地の整備新幹線の建設促進など従来型の対策です。日本銀行が決めた金融緩和の強化と合わせ、破綻した「アベノミクス」を「加速」するだけで、求められている国民の暮らし優先への転換は全く見られません。

大型開発など従来型拡大

 安倍首相は27日の講演で、「農業、観光など『未来』の成長分野への投資、子育て、介護など一億総活躍の『未来』を切り開くための投資。輝かしい『未来』に向かって、力強いスタートを切る」などと、「未来への投資」が「経済対策」のキーワードになると言い立てました。しかし、破綻した「アベノミクス」を「加速」するだけでは、未来を切り開くことなどできようはずがありません。

 もともと安倍首相が「アベノミクスを加速する」と言い出したのは、政権復帰以来3年半余りにわたった経済政策が、円安や株高で大企業や大資産家のもうけを増やすだけで国民生活を潤すものにならず、消費税増税の影響も長引いて消費が低迷、経済も財政も立て直せていないからです。来年4月に予定していた消費税の再増税も2年半延期しました。家計の消費支出は6月も1年前に比べ2・2%も落ち込んでいます。「アベノミクス」は「加速」どころかきっぱり中止し、国民の暮らしを温める政策への転換が不可欠です。

 「経済対策」が、「真水」と呼ばれる国や地方の支出だけでなく、国が財投債を金融機関などに引き受けさせる財政投融資からも巨額の支出を当て込み、「財政措置の規模」を13兆円にするなどとしているのはごまかしです。6兆円に上るとみられる財政投融資には、リニア新幹線の建設前倒しのための貸し付けや整備新幹線建設のJR負担の肩代わりなどが含まれる見込みです。建設国債の増発も検討されています。採算の見通しもない大型開発事業に大金を費やすだけで、結局国の借金を増やし財政を悪化させることになります。

 「経済対策」には、安倍政権が「一億総活躍社会」で売り物にしてきた保育や介護の受け皿対策や給付型奨学金の創設、無年金者対策なども盛り込まれるとしていますが、その多くは来年度予算に実施が持ち越されています。一昨年4月からの消費税増税に合わせて実施した低所得者向けの給付措置を来年度以降も延長するというのも、2年半後の消費税増税が前提です。国民の消費を喚起する対策などとはとても言えません。

財源難を福祉にしわ寄せ

 安倍政権が福祉や教育など、国民の予算については後回しし、財源不足を理由にさらに圧迫しようとしていることは、「経済対策」と並行で検討している来年度予算の概算要求基準で、社会保障予算は高齢化が進むことなどによる「自然増」予算をさらに大幅に削減するよう求めようとしていることからも明らかです。国民を苦しめる安倍政権の暴走そのものをやめさせることが急務です。


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