2016年7月30日(土)
年金運用損 5.3兆円
15年度 株比率倍増で拡大
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公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は29日、2015年度の運用が5兆3098億円の赤字に転落したと発表しました。(グラフ参照)
赤字は5年ぶり。株価のつり上げをねらって株式運用比率を倍増させた安倍政権の責任が問われます。
公的年金の自主運用が始まった01年度以降では、リーマン・ショック時の08年度(9兆3481億円)などに続く3番目の赤字。年度ベースの収益率もマイナス3・81%と4番目に低い水準でした。
赤字は国内株が3兆4895億円、外国株が3兆2451億円、外国債券が6600億円。比率を引き下げた国内債券だけが2兆94億円の黒字でした。
15年度末の運用資産額は、2兆7294億円減の134兆7475億円となり、4年ぶりに縮小しました。今年4〜6月期も株価低迷で数兆円の赤字とみられており、国民の批判は免れません。
運用結果は例年、7月上旬までに公表していますが、今年は3週間遅れで参院選後の発表となったことから、野党は「損失隠し」だと批判していました。
記者会見したGPIFの高橋則広理事長は「謙虚に受け止めて次回に生かしたい」としながらも、「(運用比率は)見直さずやっていく」と述べました。
またGPIFは、15年3月時点で保有していた株式と債券について銘柄と株数、時価総額を公表。トヨタ自動車(1億8217万株)や三菱UFJフィナンシャル・グループ(10億9326万株)など大企業の株式を買い支えている実態が明らかとなりました。