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2016年7月27日(水)

東京五輪 都知事選の争点

費用縮減でコンパクトに 鳥越氏

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 都知事選では2020年東京五輪・パラリンピックの大会経費問題が争点となっています。

 問題は開催経費が膨らみ続けていることです。

 競技施設は、東京都が負担することになっている九つの恒久施設建設・改修費の総額が当初1394億円余。しかし、その後、4000億円を超えることがわかり、急きょ見直しを行いました。

「世界から酷評」

 その結果、バドミントン、バスケットボール、セーリングの会場を新設から既存施設に切り替えたものの、いまだ建物本体だけで2241億円となっています。

 見直すべき点は他にもあります。

 カヌー、ボート会場の海の森水上競技場は、地盤強化や堤防の工事が必要と分かり、69億円から491億円へと約7倍以上になっています。しかし、ここは海のため、波や風が立ち、関係者からは「競技に不向き」「世界から酷評される」との声が上がっています。埼玉県の彩湖なら50億円程度ですむとの代替案も提案されていますが、都は既存案に固執しています。

 競泳会場のアクアティクスセンターは321億円から683億円へと倍増しています。

 晴海の選手村は、都が410億円をかけてインフラ整備をした後、民間に売却。しかも、土地の売却価格が相場の10分の1以下といわれ、それだけで1200億円を超える損失とみられています。

 新設施設だけではありません。本来、大会組織委員会が負担するとしていた仮設施設の費用が723億円から約3000億円に急増。組織委員会は、これを都に一部負担を求める事態となっています。

見えない全体像

 8月には野球・ソフトボールなど5競技の追加競技が決定します。これらの会場は今後、新たに選定されます。施設経費が膨張することは必至です。

 さらに重大な懸念が広がっているのが、大会にかかる総費用が、はっきりしないことです。施設経費のみならず、運営全般も含めた総費用は当初、7300億円とされていました。

 しかし、組織委員会の森喜朗会長は昨年7月、日本記者クラブの会見で「当初より3倍ぐらい、お金がかかっている。最終的に2兆円を超すことになるかもしれない」と発言。「ソチは5兆円かかっている。五輪は大変なお金がかかる」と発言しました。舛添要一前都知事も昨年10月、「3兆円は必要だろう」とのべています。しかし、全体像はいまだはっきりしません。

 鳥越俊太郎候補は「スポーツの祭典が利権まみれ、カネまみれではいけない。費用を縮減してできるだけコンパクトに、都民、日本全体がそれならいいと思えるオリンピックに」と訴え、そのためにも「情報公開をすすめ、全部オープンにして、これでどうですかと国民に問いかけてすすめる」としています。

自治体負担を提案・推進 自民

 東京五輪・パラリンピック経費をいかに削減するのか。各候補とも「都民の負担を最大限削減」(増田寛也候補)、「五輪関連予算の適正化」(小池百合子候補)と見直しの方向を口にしています。しかし、果たしてできるのか。

 その基本姿勢が問われるのが5月に国会で成立した、新国立競技場の整備財源確保関連法への態度です。

 この法律によって、同競技場の総工費1581億円のうち、東京都が448億円を負担することになりました。

 国立の施設は国の予算で出すのが当たり前です。にもかかわらず、都に強引に負担を求めるもので、国の施設費を自治体に求めることを原則禁じた地方財政法に反します。さらに手続き的にも憲法95条で住民投票が必要とされています。昨年5月には、舛添要一前都知事でさえ「憲法違反」と猛烈に反対していたのも、こうした理由からです。国は、「今後、東京以外にも可能性がある」と言い逃れ、一般法として処理して住民投票を回避しました。

 もう一つの問題は、都の負担が膨らむこと必至だという点です。新国立競技場の建設経費だけでなく、代々木第一、第二体育館など東京にある国立のスポーツ施設の改築改修のたび、都に3分の1の負担を求めることができる中身になっているからです。

 この法律の枠組みをつくり提案、推進したのが、増田候補の推薦団体の政府自民党です。小池候補自身も国会で賛成しています。

 国が本来、出すべき費用まで東京都に押し付ける法律。これを推進しながら突然に「経費削減」と言い出しても説得力を持ちません。

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