2016年7月27日(水)
問われる大型開発優先都政
小池・増田候補 ゼネコン型推進
鳥越候補「都民のくらし優先」
都知事選
東京都知事選では、幹線道路や大型開発優先から、都民の福祉・くらしを優先する都政に転換するかどうかが問われています。
自民党の2候補はいずれも、舛添要一前知事が策定した「都長期ビジョン」(2014年)について、「非常によくできている」(増田寛也氏=自民・公明・こころ推薦)、「とてもよくまとめられている」「私はこれを継承していきたい」(小池百合子氏=前自民党衆院議員)と高く評価。大型開発優先都政を継続しようとしています。
同ビジョンは、幹線道路や国際港湾、都心部再開発など大型開発を推進する一方で、都民の福祉・くらし支援策は極めて不十分です。3カ年の事業費(総額3兆7400億円)のうち、都市インフラ事業費7800億円(約21%)に対し、福祉関係事業費は2900億円(約8%)にすぎません。
小池氏は、東京に海外の金融企業を呼び込む国際金融センターづくりを主張し、「東京からアベノミクスをもっともっと引っ張っていけるような知事を目指したい」と明言。石原慎太郎、猪瀬直樹元知事が推進を打ち上げたカジノ誘致について、「IR(特定複合観光施設)という形で統合型リゾートという発想」で推進を表明しています。
増田氏は、雑誌『中央公論』(15年11月号)の誌上対談で、「田中角栄元首相の『日本列島改造論』はもちろん、地方の暮らしをよくするためのものでした」と評価しています。
「日本列島改造計画」は、ロッキード事件で逮捕された田中角栄元首相が70年代に、北海道の苫小牧東部、青森県のむつ・小川原など企業を呼び込むコンビナート団地づくりなど、ゼネコン奉仕の大型公共事業を推進しましたが相次いで失敗、もうかったのはゼネコンや一部企業だけでした。
増田氏は、岩手県知事時代に県の借金(起債残高)を2倍に膨らませ、県財政を危機的状況に陥れた“実績”があります。
大型開発優先から、都民の福祉・くらしを優先する都政への転換を公約しているのは、4野党統一候補の鳥越俊太郎氏だけです。
鳥越氏は「大型公共事業偏重をやめ、待機児童や介護問題の解決など、都民の暮らしを優先する」と訴え、「カジノには反対」ときっぱり。2020年東京五輪・パラリンピック開催経費の膨張問題について、「コストはできるだけ縮減し、コンパクトでスモールな平和の祭典に」と主張しています。
(岡部裕三)