「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年7月26日(火)

主張

軽度者介護の縮減

「使わせぬ」の悪循環をやめよ

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 介護保険の新たな制度改定に向けた議論が、厚生労働省の審議会で本格的に始まりました。今回は、「要介護1、2」の人が使う訪問介護のうちの掃除や調理などの生活援助や要介護2以下の人の福祉用具貸与の「保険外し」・負担増などが焦点となっています。安倍晋三政権は昨年から、「要支援1、2」の生活援助などを公的保険の対象から除外する改悪を始めたばかりです。利用する高齢者や家族らに次から次に苦難と負担を強いることは、国民の暮らしの実態をあまりにも無視したやり方です。安心の老後を掘り崩す改悪を推進することは許されません。

生活の支えが奪われる

 介護保険制度の見直しはほぼ3年に1度行われ、次の改定は2018年度から予定されています。厚労省が20日の審議会に提出した資料では、要介護2以下の「軽度者」のサービスの保険給付の対象を縮小することや、負担増を求める方向を強くにじませています。

 論点の一つは、要介護1、2の訪問介護のなかの掃除、調理、買い物などの「生活援助」です。社会保障費削減を求める財務省や経団連など財界は、生活援助を「中重度者に重点化」することや、「原則自己負担」を迫っています。

 生活援助を保険給付から外すことを正当化するため「知識、技術をそれほど有しない者でもできる」(厚労省資料)という議論が持ち出されますが、乱暴な意見です。

 介護認定を経てケアプランに盛り込む生活援助は、単なる調理や掃除ではありません。室内の散らかり状況から高齢者の体調を判断したり、好みの変化から認知症の症状を把握したり、ヘルパーの専門性が求められているものです。保険から外され、専門でない人の支援になれば、高齢者の微妙な変化を見逃す危険が大です。早期対応の遅れは、高齢者の重症化をすすめる結果にしかなりません。

 要介護2以下の人の福祉用具のレンタルを「原則自己負担」にする動きも重大です。軽度者の生活の自立にとって、つえ、手すり、車いすなどは文字通り、不可欠の支えです。転倒予防など安全な日常生活を送ることを可能にするとともに、外出を支援するなど、高齢者の重症化を防ぐうえで福祉用具は大きな役割をはたしています。家族など介護する側の負担を減らすためにも必要です。

 利用料負担増でレンタルが続けられなくなれば、福祉用具で成り立っていた生活が崩れ、本人はもちろん介護する側も打撃です。家族が利用者から目が離せないような状況になれば、仕事などできません。これほど「介護離職ゼロ」に逆行するやり方はありません。

税の集め方、使い方変え

 「自己責任・自助」を国民に求める安倍政権の介護改悪は多くの弊害を生んでいます。特別養護老人ホームの入所を原則要介護3以上に厳格化したため、申し込むことすらできない「介護難民」が急増しています。家族が介護で追い詰められた「介護殺人」という痛ましい事件も後を絶ちません。介護保険を「使わせない」というやり方は、家族を疲弊させ、高齢者を重症化させ、介護保険財政を膨張させる悪循環しかもたらしません。国民が安心できる介護など社会保障の再生・拡充へ向け、税金の集め方、使い方を転換する政治にしていくことが重要です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって